女優の山口乃々華(27)が主演するミュージカル「SERI~ひとつのいのち 2026」(2月19日~3月1日、東池袋・あうるすぽっと)が、来月から上演される。22年の初演からの続投に「前回を超えられるように精いっぱいやりたい」と意気込んだ。

一方で「再演はプレッシャーもあるけど、期待されるのもうれしい」とも。E―girls解散後はミュージカル女優として活躍中だが、きっかけは映画監督からの勧めだったそうだ。衝撃を受けた俳優や共演仲間との交流も聞いた。

 「SERI―」は、倉本美香さんが米ニューヨークで直面した想像を絶する困難の8年間をつづった「未完の贈り物」が原作。生まれつき両目と鼻のない重い障害を持って生まれた娘(千璃=セリ)と、母親との愛と葛藤を描いた舞台だ。22年の初演に続いて千璃を演じる山口も力が入っている。

 「もちろん『やるなら初演を超えなきゃいけない』という覚悟で挑んでいます。前回は前回であの時の良さも絶対にあるので、過去の自分は否定しません。でも、今の自分にしかできないことも増えていると思うので、SERIがより豊かな作品になると願っています。初演の時はミュージカル経験があまりなくて、許される部分もあったと思いますが、今回はかなり高いレベルを期待されるでしょうし、それは覚悟しています。でも、それって私にとっては結構うれしいことで『私、ここまで来た』という感じで受け止めています」

 今回、座長として意識していることがある。

 「初演の時は3人(山口、奥村佳恵、和田琢磨)主演で、超座長ってワケじゃないんですけど、自分のことだけで精いっぱいでした。

今までいろんな素敵な座長を見てきたので、その方々のように悩んでいる人がいたら積極的に声をかけていきたいです。特に母親役の(韓国人の)ジェイミンさんは支えたいです。この作品はお母さんとお父さんのセリフがものすごく多くて、それだけでも大変なのに、彼女は日本で初めての舞台になりますから。セリフ合わせもいっぱい付き合いたいし、できることは何でもしようと思っています」

 山口はE―girls解散後にミュージカルに進出したが、きっかけは映画監督のアドバイスだった。

 「実は映画『私がモテてどうすんだ』に出演した時、平沼紀久監督から『乃々華、ミュージカルやってみたら』と言われて『トライだけでもしてみようかな』と受けたのが『ジェイミー』のオーディションでした。そこで合格を頂いたことが大きかったですね。この時はコロナ禍で、最初のリモート審査では『ちょっと無理かな』と思っていましたが、面接と歌唱審査の時、プロデューサーさんから『頑張ろう。いけるよ』と応援していただいたのが心強かったです。合格を知らされた時は『よっしゃ~』となりました(笑)」

 舞台を重ねていくと、共演者に刺激を受けることもあるようだ。

 「最初に衝撃を受けたのは『ジェイミー』で、ダブルキャストだった田村芽実(めいみ)ちゃんです。彼女の歌をマネして『こうするんだ、ああするんだ』と勉強させてもらいました。その次は一昨年に『ラフヘスト~残されたもの』でご一緒したソニンさん。

彼女をマネようと思っても、できるようなモノじゃなかったですね。魂が激アツすぎて作品への向き合い方だったり、“一息入魂”的なストイックさを学ばせていただきました。ただ、お芝居はとてもやりやすくて(共演者を)いざなってくれる。そんなソニンさんは憧れです」

 23年には『SPY×FAMILY』のフィオナ・フロスト役を射止めたが、この時の出来事も印象に残っている。

 「“スパイ”の前に『レ・ミゼラブル』のオーディション受けた時、プロデューサーさんが、まだダメダメだった私をスパイに呼んでくれたんです。でも私、この時に喉を壊してしまったんです。最初はオファーという形でしたが、歌えるかどうか心配だったようで『帝国劇場でやる大事な作品だから、一度オーディションさせてくれ』と言われました。私も、憧れの帝劇の舞台に立てると思っていたから、気持ち的には最悪でした。でも何とか(オーディションに)人さし指で一本、ギリギリで引っかかって出演が叶(かな)いました(笑)」

 現在はミュージカル中心の活動だが、ドラマや映画への興味はないのだろうか。

 「舞台をやっていると、どうしてもお芝居が大きくなっちゃって、普通のドラマや映画にはあまりフィットしないことが多くなる。そのあたりは結構意識していて、縦型ドラマ(スマートフォンを縦に持ったまま視聴できるドラマコンテンツ)だと、ちょっとオーバーめの芝居も受け入れてもらえるし、舞台とテレビや映画の間の感じがして面白いと思っています」

 ミュージカルの世界を目指して、数年で自身の立ち位置を作ったことには感服。笑顔の裏にどれほどの苦労、努力があったのか、それを感じさせないのが魅力だ。

 (国分 敦)

 ◆山口乃々華に聞く

 ―素になれる瞬間は。

 「私、飾っていられる人じゃないから、いつもノーマルでいる気がします。“いい子ちゃん”できないから気疲れもしませんし、楽ですよ。お酒は結構飲む方で、飲むとテンションが上がってハッピーになる派です。あと『SPY×FAMILY』で共演した仲間とは月に1回集まって、ご飯を食べています。メンバーにユーリック武蔵君という美食家がいて、『この新しいジンがさ』とか『こういうアメリカの料理を調べたんだけど』とか言って、いろいろやってくれるんです。彼はホームパーティーをするご家庭。いつも彼の家に邪魔させてもらって、彼の指示の下でみんなで料理を作っています。もちろん私も手伝いますよ。みんなでご飯食べてワイワイ過ごしている時が、一番のリフレッシュする瞬間かもしれません(笑)」

 ◆山口 乃々華(やまぐち・ののか)1998年3月8日、埼玉県出身。27歳。2011年に「ボーカル・バトル3」のダンスパフォーマンス部門に合格し、12年リリースの「Follow Me」よりE―girlsに加入。

14年から俳優業もスタート。ドラマ・映画「HiGH&LOW」シリーズの他、20年に「私がモテてどうすんだ」でヒロイン役。21年の「INTERVIEW」からミュージカルに進出し、数多くの作品に出演している。特技は料理。158センチ。血液型A。

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