プロボクシング世界3階級制覇王者・中谷潤人(28)=M・T=が2026年の目標を「世界4階級制覇」に設定した。昨年12月、サウジアラビアで20勝18KOのセバスチャン・エルナンデス(25)=メキシコ=に判定勝ちし、スーパーバンタム級初陣を飾った。

今、感じることをつづるコラム「BIG BANG!」第10弾では激闘を振り返り、期待される5月、東京ドームでの世界4団体同級統一王者・井上尚弥(32)=大橋=との対決、勝てば実現する日本人4人目の世界4階級制覇へ熱い思いを語った。

 こんにちは。中谷潤人です。2025年は、目標に掲げたバンタム級の統一王者(WBC、IBF)になり、スーパーバンタム級に転向して最初の試合にも勝つことができました。試合後はしばらく休養して、腫れた右まぶたも回復。1か月がたち、すでに次戦に向けた練習も再開しています。リヤドでの試合は厳しいながらも自問自答しながらファイトできる時間が長かった。この経験は、すごく今後に生きてくるはずです。26年はさらに大きなビッグバンをお見せできるよう、精進してまいります。

 エルナンデス戦は、自分に対してのインスピレーションを大きく与えてもらえた試合でした。お互いに削り合う戦いになると想定していましたが、今回はその時間が長かったですね。試合はすごく良い形で入れたものの、エルナンデス選手はプレッシャーが強く、手数も3~4発では止まらないで7~8発も出てくるようなファイター。

中盤では相手を勢いづかせないよう、動き回るよりも一度、足を止めて前に来させないように、という選択をしました。でも、相手の良さが存分に出る距離になってしまいました。パンチの強さはあまり感じませんでしたが、こちらのバランスを崩されていくという感覚で戦っていた気がします。正面に回り過ぎたので、少し体をいなしながらポジションやアングルを変えてパンチを出せば、違う展開になったかも。練習してきたことをあまり出せず、反省しています。

 判定になりましたが、やりきっていたので、後は審判に委ねるだけでした。でも、戦いながら、試合は楽しかったと感じていました。相手が強かったこともありますが、そういう“対話”ができる時間が長かったですから。たくさんの反省点と向き合っていけば、必ず成長につながっていく。その意味で、試合で手にしたものはプラスしかないと思います。あんな打たれ強い選手はそうはいないので、そういう選手を倒すことができれば、戦い方はまた、楽になってくるでしょう。

 今回の試合については、様々な評価を受けています。

僕の耳にも目にも入ってきていますが、それがボクシングですから。これが僕のキャリア、これがリアルなので。どう言われようが、世間にお披露目したものですから。それを覚悟で戦っていますから。KO勝ちなら盛り上げることができたでしょう。ただ、そこにしっかり向き合っていく時間が僕の成長につながるし、どうやっていくかが今後の課題で、試されている部分。僕自身が成長するために必要な一戦だったと、すごく感じています。

 それにしても、右まぶたがあれほど腫れたのは初めて。目尻から流血しましたが、検査の結果、網膜も眼窩(か)底も大丈夫でした。家族にも初めて見せた顔で、客観的に見て思ったのは、打たれない、打たせないのが一番、ということでした。

 26年の目標は「世界4階級制覇」と書かせていただきました。今年は世界チャンピオンになることを目標にやっていきます。

 尚弥選手との対戦については、どういう状況になっていくか、分かりません。今回の戦いで自分自身が成長できる材料をたくさんもらったので、そこ(尚弥戦)に向けて着実に進んでいければと感じています。

 尚弥選手とピカソ選手(メキシコ)の試合は控室で見ていました。瞬間、瞬間に繰り出すパンチの鋭さは映像越しでも感じましたし、実際に向き合ったら脅威になるパンチでしょう。対戦するとずっと言われてきて、それを意識してきましたから、実際に決まれば、その対応はしっかりやります。もう全力を尽くすだけです。どうなるにしても、目標は変わらず持っているので、やるべきことをやるだけ。パンチの角度など、細かいところは、より修正が必要でしょう。強くなる過程をしっかり楽しみながら、やっていきます。

 (指導を受ける)ルディ(・エルナンデス・トレーナー)が米誌で「尚弥選手をKOするのは難しい。判定なら勝てる」と言ったそうですね。でも、それはルディが言ったことですから。

やってみなきゃ、分からないと思っています。

 人を倒すにはパンチ力も多少は必要ですが、やはり、人はタイミングで倒れますから。そのタイミングを、いかに、どうあぶり出すかということが大事になってきますし、色々な状況が加味されて倒れると思うので、そこはしっかり組み立てていく必要があるでしょう。

 改めて言います。今年の目標は世界4階級制覇。ベルトは独占されていますが、まあ、そっちの方がいいですよね…へへへ。なぜなら、1回で(4本)取れますから。感謝! 感謝!(世界3階級制覇王者)

 ◇中谷―エルナンデス戦VTR(2025年12月27日、サウジアラビア・リヤド) 中谷は初回からジャブ、左ストレートを中心に攻めて主導権を握るも、エルナンデスも4回に手数を増やして反撃。プレスをかけて手数を増やし、打たれ強さ、スタミナを発揮してアッパー、ボディーと上下に打ち分ける中谷の強打に対抗した。偶然のバッティングが中谷の右まぶたに直撃。強打が追い打ちをかけ、回が進むごとに右まぶたが腫れた。ともに決定打を奪えず、試合は判定へ。

回転力を生かしたエルナンデスの攻撃に苦しみながらも、中谷は有効打で上回り118―110、115―113、115―113の3―0で32連勝を決めた。

 ◆中谷 潤人(なかたに・じゅんと)1998年1月2日、三重・東員町生まれ。28歳。中1からボクシングを始め、中学卒業後、米国で単身武者修行。2015年4月にプロデビュー。16年度全日本フライ級新人王。19年2月に日本同級王者、20年11月にWBO世界同級、23年5月にWBO世界スーパーフライ級、24年2月にWBC世界バンタム級王座獲得で3階級制覇を達成。25年6月、前IBF王者・西田凌佑(六島)に6回終了TKO勝ちし2団体王座を統一(9月に返上)。身長173センチの左ボクサーファイター。戦績は32戦全勝(24KO)。家族は両親と弟。

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