巨人の泉圭輔投手(28)が27日、G球場で自主トレを行った。ブルペン入りした右腕は捕手・小林を座らせた状態で、直球を中心にフォームやボールの軌道を確認。

ツーシームも3球ほど投じた。ロッテ、中日で12年間プレーし、現在は巨人担当の加藤翔平記者。独特な軌道を描くツーシームを見て、ある記憶が鮮明によみがえった。今季から先発に挑戦する右腕のブルペンを加藤記者が見た―。

 突然の告白にお互い、思わず笑みがこぼれた。「緊張しすぎて初登板の記憶がないんですけど、あの一球だけはとんでもない変化したのを覚えているんですよ。あれがプロ(で)イチ(番)です」。泉がそう振りかえったのは、ソフトバンク時代の19年4月16日。プロ初登板となったロッテ戦(ZOZOマリン)。6―0とロッテがリードして迎えた8回、3番手でマウンドへ。先頭打者は「2番・右翼」で出場していた私だった。

 初登板の投手のデータは少ない。

当時スコアラーから伝えられていた情報は「背が高くて角度のある投手」と「140キロ後半の直球とカットボール、フォーク系のボールがある」の2点。カウントごとの傾向や球種の曲がり幅など、詳しいデータはない。打席内で確認するしかなかった。カウント0―2と追い込まれた3球目。“あの一球”が投じられた。外角低めの球が突然視界から消え、バットは空を切った。「一番自信を持っているボール」と。そう語るツーシームは、左打者の外に逃げながら大きく落ちる独特な軌道を描いた。

 昨季まで通算163登板と経験豊富な右腕。それでも自慢の武器には陰りが見えていたという。「若いときに投げていたツーシームの方が良かった。曲がり方が縦に落ちていて、落ち幅や奥行きもない」。

現在は自身の感覚を呼び戻し「理想のボールに近づける作業をしている」と、試行錯誤中。ツーシームの輝きを取り戻せば、他の球種も生きてくるはずだ。

 先発経験はプロ1年目の1試合のみ。先発投手と中継ぎ投手では、試合への調整方法や球種の配分が変わるが、心配ないだろう。現在は先発仕様のカットボールの習得に取り組み、新たなスタイルを確立している。FAで楽天から則本が加入。3人の新外国人投手も加わり、ローテ入りを勝ち取るのは簡単ではない。ただ、現状でローテ入りが確定しているのは開幕投手筆頭候補の山崎のみ。泉が結果を残し続ければ十分にチャンスがある。輝きを取り戻したツーシームを武器に、東京Dのマウンドで躍動する姿を楽しみにしている。(加藤 翔平)

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