東京映画記者会(スポーツ報知など在京スポーツ紙7社で構成)が選ぶ「第68回(2025年度)ブルーリボン賞」が27日に決まった。邦画実写の歴代興収記録を22年ぶりに更新した「国宝」(李相日監督)が作品賞に選ばれた。

 映画に対する無限の可能性を感じた。「誰も『国宝』が実写邦画の1位になると思ってなかったですよね。でも、そういうことが起こりうるということ。映画に関わる全員の執念を結集させたら、どんな事態が起きるか分からない」と実感した。前回の受賞から19年を経て、監督としては「みなさんに仕事をしてもらうのが監督の仕事。何かを伝えたり、引き出す、コミュニケーション能力は多少は上達したかな」とうなづいた。

 第50回報知映画賞をはじめ、国内の映画賞を席巻し、世界最高峰の米国アカデミー賞(現地時間3月15日授賞式)でもメーキャップ&ネアスタイリング賞に日本映画で初めてノミネートされた。日米で注目されるポイントの違いがあり「日本では血筋に重きを置いて見てもらっている。米国では芸術家の行き交った、自分の人生を犠牲にしてでも芸術を追求する姿勢に共感してもらっていますね」。美しい映画を称賛する心意気は万国共通で刺激を受けいる。

 昨年の大晦日に「国宝」の大ヒットを実感する出来事があった。歌舞伎の聖地である東京・東銀座の歌舞伎座で上映会が行われ、出演者と舞台あいさつに登壇した。

「歌舞伎座の客席で見ることから始まった映画なので、すぐそこからの短い距離に時間やお金、いろんなものが凝縮されている」と感じたという。歌舞伎の興行を取り仕切る松竹の関係者も映画のヒットを大歓迎。「喜んでくれています。近付いてくる笑顔で分かる。雰囲気が雄弁に語っている。うれしいより、ホッとした気持ちです」と胸をなで下ろした。(有野 博幸)

 ◆李 相日(り・さんいる)1974年1月6日、新潟県生まれ。52歳。大学卒業後、日本映画学校で学び、卒業制作の「青 chong」が2000年のぴあフィルムフェスティバルでグランプリなど4部門を受賞してデビュー。06年の「フラガール」で日本アカデミー賞最優秀作品賞、報知映画賞作品賞など。ほかに「悪人」(10年)、「許されざる者」(13年)、「怒り」(16年)など。

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