歌手で俳優の中島健人(31)が、ソロのアイドルとして新境地を開いている。2週連続インタビューの前編では、グループ卒業後に味わった痛みと苦しみや、2024年12月のソロデビュー後、再び光の中を歩むまでの道のりを語った。

 昨年の大みそか、東京ドームで行われたカウントダウンコンサート。事務所のスターが勢ぞろいする中、会場の全方位から歓声をさらう中島の姿があった。

 「やっぱりケンティーすごいね」と思わず記者たちからも言葉が漏れたほど。スポットライトがよく似合う圧倒的アイドルも、苦悩と葛藤を重ねてたどり着いた今がある。

 24年1月、その年3月をもってSexy Zoneからの卒業を電撃発表した。事務所には残留し、ソロでの活動継続を決断。当時、退所する選択肢は頭をよぎらなかったのか、単刀直入に聞くと「ゼロですね」と間髪入れずに言い切った。

 「会社の形は変わったけど、受け継がれている伝統に心から感謝している。ここで育ったからには、会社に対して自分が創造するクリエイティブでしっかり恩返ししなければならないという責務と使命感がある。なので、グループを離れるという結論に至った時も、会社を代表するアイドルにならないとダメだなという思いが強かったですね」

 中島の強い覚悟と反比例するように、ソロ転向に対して厳しい意見やバッシングもあった。クールな表情から一転、ふっと息を吐き「そうですね。24年は…」と言葉を選び、「グループ卒業から数か月は非常に大変でした」と率直な心境を明かした。

 「自分のメンタルも今までにないほど傷ついたし、痛い言葉の矢もたくさん飛んできて、あと何本飛んでくるんだろうと。家族や友達にも心配かけましたし、眠れない日も続いて結構きつかった。そこに一筋の光なんか全然見えなかったし、何でこうなったんだろう、こんな瞬間って人生に訪れちゃうんだっていう苦しみと痛みを経験しました」

 自らを導いたのは、入所同時から揺るがないアイドルとしてのプライドと、クリエイティブ力だった。24年7月、キタニタツヤとのユニット「GEMN(ジェム)」で、アニメ「【推しの子】 第2期」のオープニング主題歌「ファタール」を担当し、国内外で大反響を呼んだ。「GEMNの存在に支えられたし、その年に書いたデビューアルバムの『ピカレスク』という楽曲で痛みと苦しみを昇華できた気がした」とアイドル人生の新章が幕を開けた。

 ソロデビューを飾り、昨年は国内外で初の単独ライブ。昨年1月、388日ぶりのステージを記者も取材したが、死角のない迫真のパフォーマンスと、唯一無二のアイドル力が包む幸福感が場内に広がっていた。余念のない準備や努力すること、自らの仕事に誇りを持つことの大切さを改めて感じ、刺激を受けたと伝えると、「うれしい。そう思ってもらえたなら最高」と笑顔がはじけた。

 「昨年のライブは自分の殻を破る最後のタイミングだった。苦しみや痛み、ネガティブな気持ちを取り払い、新しい自分を見つけることがテーマで、そこにたどり着けたのも2024年の紆余(うよ)曲折を経験したからこそ。いざステージに立ったら、その尊さや美しさを力強く感じたし、曲を書き披露し、歓声を得るという自分の宿命を改めて理解できました」

 前進を続ける中、度々口にする「2年以内に東京ドームに立つ」という目標の“真意”を語り始めた。

=後編へ続く=(ペン・奥津 友希乃)

 ◆中島 健人(なかじま・けんと)1994年3月13日、東京都生まれ。31歳。2008年4月、事務所入所。11年11月、Sexy Zoneとして同名シングルでCDデビュー。24年3月をもってグループ卒業。24年12月に1stアルバム「N/bias」でソロデビュー。2月18日に2ndアルバム「IDOL1ST」をリリース。

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