ミラノ・コルティナ五輪(6日開幕)に出場するスピードスケート女子の吉田雪乃(23)=寿広=と、男子の森重航(25)=オカモトグループ=が1日、本番会場の「ミラノ・スピードスケート競技場」で初練習に臨んだ。展示場につくられた珍しい仮設リンクでの滑りとなり、選手からは「下(氷の中)が空洞の様な感覚」と違和感を指摘する声が出た。

男女500メートルでのメダル獲得が期待される両選手の戸惑いを、大谷翔太記者が「見た」。

 練習を終えた男女短距離のエースが、共に困惑した表情を浮かべながら、同じ言葉を口にした。1月31日にミラノ入り後、1日に初めて氷に乗った。軽めの調整を行い、氷の感触を問われた吉田は「ポコポコ、音がして。(氷の)下に、空洞があるような感覚」。練習でじっくりと滑っていた森重も「コーチ陣とも話したんですけど、(氷の)中が空洞というか…。スカスカ、密度がないような感覚というか。そんなイメージ、感覚でした」と明かした。

 持続可能な大会運営のため、競技会場13のうち11が既存、または仮設施設の今大会。スピードスケート会場も商業施設群の中の一つで、展示施設につくられた。私が入館後にまず感じたのは、異例とも言える館内の暖かさだ。取材後、各記者はコートを脱いでキーボードを打っていた。

氷上競技の取材をする中で初めてと言える経験だが、吉田は「私は寒いのが苦手なので。暖かいのは嬉しい」とあっけらかんだった。

 フィギュアスケートを取材していても、選手からは「氷が硬い、軟らかい」「氷が締まる」など独特な感覚を耳にする。恐らく密度が高くないのであろうスピードスケート会場の氷。吉田は「自分の蹴った分が、伝わらない感覚があるというか。その分、音で返ってくるような感じがして。自分の中で慣れていなくて、違和感」。この日は、2枠の練習時間を使って課題をあぶり出した。

 一方で、2日に初滑りした高木美帆(31)は幼少期に地元・帯広で仮設リンクで滑っていた経験がある。氷を蹴った音がかなり響く構造も「懐かしさや慣れ親しんだ印象を持った。氷に嫌な印象は感じなかった」と前向きな言葉を残した。初五輪の吉田は「体が勝手に慣れてくれる。

そこまで深く考えすぎずに調整していけたら」。適応力こそ、五輪を勝ち抜くカギとなる。(大谷 翔太)

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