人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の舞台として知られる東京17区(葛飾区全域)では、過去最多となる7人が立候補する大乱戦となっている。過去10回の小選挙区選挙で全勝を誇る自民党の平沢勝栄氏(80)は前回は裏金問題を受けて非公認となり、大苦戦した。

今回も候補者や支援者らの高齢化を不安視する声があるなか、高市人気の追い風を受け、逃げ切りを図る。中道改革連合の新人候補や、保守票を取り合う日本維新の会、国民民主党、参政党、著名無所属候補も追う展開となっている。

 気温8度、晴天の下、地元の香取神社で約100人が集まる中で出陣式を行った平沢氏。あいさつで、旧民主党政権の失策を次々と挙げ「やっと安定した政権運営ができるようになってきた。その先頭に立って頑張ってくださったのが皆さん方なんです」と頭を下げた。選挙戦中盤の週末には同神社などで豆まきに参加。80歳となっても精力的に活動を続ける。

 小選挙区が導入された1996年から10回連続の負けなし。東京で唯一の「全勝男」は毎回、開票直後に当確が出る圧勝続きだった。だが、前回は政治資金報告書の不記載問題で党の公認が得られず、当確が出たのは日付が変わってから。6万4495票は過去最低得票で、2009年以来、2回目となるライバル候補に比例復活を許した。

 今回は党公認だが、不安要素もある。

後援会幹部によると、支援者の高齢化が深刻という。冬場の選挙となったことで活動が制限される懸念も。ここ数年で亡くなった後援者も少なくない。陣営幹部は選挙区内を縦横無尽に駆け巡りドブ板選挙を続けた平沢氏の「足腰」を振り返り「時間の経過とともに衰えている事実は否めない」と唇をかむ。

 連立を組む維新は、前回比例復活した猪口幸子氏(69)が再挑戦。週末には吉村洋文代表も応援に入り、医師で持続可能な社会保障制度改革を訴える。国民民主、参政党も候補者を立て、保守票の食い合いも懸念される。平沢氏は「非常に、厳しい選挙でございます」と声を絞り出した。

 若さを打ち出してきたのが、中道の新人・反田麻理氏(45)だ。元新聞記者で参院議員秘書を経験。出馬が決まったのは公示2日前だった。落下傘候補だが、発信力を武器に、党公約の「食料品消費税ゼロ」を掲げる。

公明顧問の山口那津男氏や斉藤鉄夫共同代表も応援に入り、選挙区内の約2万5000票あるとされる公明票の総取りを狙う。

 ただ、組織の弱体化は自民側だけではない。中道へ合流した公明党側も、かつてのような集票マシーンとしての「足腰」の衰えが指摘される。前回平沢氏を1万2520票差まで追いつめ、国民民主党公認で比例復活した円より子氏(78)が公示直前に無所属での出馬を表明。男性3人、女性4人の乱戦で情勢は混沌(こんとん)としている。

 与野党とも組織の衰えを抱える中での対決は、選挙区内の空気を一層重くする。平沢氏は支援者の層も薄れる中で、圧倒的な「知名度」を最後の砦として応戦する。「執念と蓄積」か、それとも別の選択肢か。予断を許さない戦いが続く。

 ◆東京17区(葛飾区)

立候補者

 反田 麻理 45 中新

 平沢 勝栄 80 自前〈10〉

 長谷川貴子 52 国新

 円 より子 78 無前〈1〉

 杉浦慎一郎 29 参新

 鈴木 真志 54 諸新

 猪口 幸子 69 維前〈1〉

※敬称略、届け出順。年齢は投開票日現在。

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