昨年8月に東京・後楽園ホールで行われたプロボクシング東洋太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチ後に救急搬送され急性硬膜下血腫のため亡くなった神足茂利(こうたり・しげとし)さん(享年28)の追悼引退式が3日、東京・後楽園ホールの興行内で行われた。兄で松田ジムトレーナーの昌冶(まさや)さん、神足さんが所属したM・Tジムの前WBC&IBF世界バンタム級王者・中谷潤人(28)、村野健会長らがリングに上がり、引退の10カウントゴングが鳴らされた。

 神足さんの写真パネルを手にリングに上がった兄・昌冶さんは「シゲはジムの仲間である中谷潤人さんから多くの刺激をいただき、学び、そして心から尊敬していました。その大きな背中を追いかけ、いつか追い付きたいと願い、日々自分を律し、取り組んでいました。今ではシゲの遺志を引き継いでくれる選手がM・Tジムには沢山います。シゲが愛したM・Tジムの今後をぜひ注目してください」と涙で声をつまらせながら話した。

 さらに「僕にとっては何よりも大切な存在を失いましたが、ボクシングがあったからこそシゲとの兄弟愛がさらに深まったと思っています」と振り返り、「ボクシングは時に残酷なドラマを作ってしまうこともあります。ですがシゲが何よりも愛したボクシングを広め、ボクシングが素晴らしいと伝えていきたいです。シゲとは地元・名古屋でボクシングジムを開くことが夢でした。シゲの生きた証を残すために、僕がジムの多くの夢をシゲと一緒に叶えたいと思っています」とジム開設の夢を明かした。 また、中谷は引退式後に取材に応じ「たくさんの人に愛されたファイターだったなと感じました」と話した。中谷らM・Tジムの選手たちは、試合前のMRI検査や毎月の体調管理シートの提出など、リング禍を起こさないための健康管理対策に取り組んでいる。「僕たちの仲間が事故に遭って、触れ合っていた時間も長かったですし、ショックも大きかった分、選手たち一人一人の事故に対しての意識はより高まっている。M・Tジムの選手たちはもちろんですが、ボクシング界の一人一人が事故を防げるように、意識を発信していきたい」と語り、「神足君の魂っていうのは、ずっと受け継がれていくものだと思っています。

そういう思いを大切にしていきたい」と誓いを新たにした。

 神足さんは名古屋市出身。アマチュアで50勝(5RSC)23敗の戦績を残して日大卒業後にM・Tジムに入り、2019年10月に2回TKO勝ちでプロデビュー。昨年8月の試合がタイトル初挑戦だった。プロ戦績は8勝(5KO)2敗2分け。

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