Jリーグの秋春制移行に伴い開催される明治安田百年構想リーグは、6日に各地で開幕する。今季からJ2藤枝を率いる槙野智章監督(38)がスポーツ報知のインタビューに応じ、J監督1年目への熱い思いを語った。

(取材・構成=伊藤 明日香)

 槙野監督がJリーグに新風を吹き込む。22年の現役引退後は神奈川県社会人リーグの品川CCで3年間指導者経験を積んだが、Jクラブの監督は初めてだ。

 「今年は変化の年です。僕自身も監督として変化の年、選手も今まで以上に基準を変える年になる」

 藤枝はJ2・J3百年構想リーグで東Bグループに入り、初戦は8日にホームで岐阜と対戦する。

 「緊張はなく、楽しみの方が大きいです。目指しているのは(8月開幕の)26―27年シーズンで100%の状態に持っていくこと。(昇降格のない)百年構想(リーグ)も良い意味で活用したいです」

 同グループにはFW三浦知良(58)が所属するJ3福島も入った。カズは入団会見で槙野監督との対戦を楽しみにしていた。

 「小学生の頃からカズさんを見て育ち、現役時代も同じピッチで関わりました。引退後も一緒に仕事をして、僕のサッカー人生には常に三浦知良さんがいました。僕が監督、カズさんが選手として関われるのが楽しみ」

 38歳の青年監督には、若手を育てたい思いもある。

 「大きな話かもしれませんが、若い指導者が出てくるために僕が成功して、若い指導者が生まれる入口を作りたい。

選手や地域との関わりも発信し、若い監督がやるとこうなる、という先駆者になりたいです」

 監督を目指す思いは、広島ユースからトップに昇格した19歳のころから。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現名古屋監督)の下で、練習をノートに記録し意図を理解する中で監督業の面白さに目覚めた。浦和ではリカルド・ロドリゲス監督(現柏監督)など、様々な名将から学んだ。

 「自分の色といっても、ベースは彼らから教わったもの。藤枝の須藤大輔前監督が築いたものも大事にしたい。ぶち壊して自分色に染めるのではなく、上乗せすることが大事。自分を出しすぎるとチームは壊れる。『僕』ではなく『僕たち』のサッカーだと思っています」

 1月26日にはホームタウンのJR藤枝駅前に高さ2・3メートル、幅12・9メートルの大型看板を設置。自身の名刺を3000枚貼り付け、サポーターや地域住民が受け取れるようにした。

 「自分から提案しました。できる範囲ですが、あと5つぐらい(クラブに)ミッションを与えています。藤枝の試合に来たら、これがすごいという魅力を作らないといけない」

 サッカーに専念するためタレント活動を封印。

都内の自宅を離れて静岡での単身赴任も選択した。監督オファーを受けた際には妻の女優・高梨臨にも相談した。

 「引退の時はまだ体も動けていたから反対されたけど、元々、監督をやりたいことも知っていましたし『どうせ止めてもやるでしょ』と後押ししてくれました」

 6月には北中米W杯が開幕する。自身の1学年上で、5度目の出場を狙うDF長友佑都(FC東京)にもエールを送った。

 「森保さんとは話しました。新しい景色と言っていますから、やってもらわないといけない。代表の結果はJリーグにも直結する。(長友は)本当にすごい。努力を間近で見てきた、お手本中のお手本。選ばれるだけでなく、ピッチで暴れてほしい。(22年カタールW杯で流行した『ブラボー』に続く)新しいワードにも期待しています」

 チームは23年のJ2昇格以降3季とも2ケタ順位。26―27年シーズンで目指すのは、初の昇格プレーオフとなる6位以内だ。

 「他のチームがやらないことをやります。J2ではロングボールやフィジカルに偏った試合も多いですが、ボールを保持してワクワクさせるパスワークやコンビネーション。どうなっていくのかというワクワク感、ドキドキを味わってもらえたらと思います」

 ◆槙野 智章(まきの・ともあき)1987年5月11日、広島市生まれ。38歳。広島の下部組織から2006年にトップ昇格。10年冬にドイツ1部ケルン、12年に浦和へ移籍。22年に神戸へ加入し同年に現役引退。J1通算415試合46得点。10、15、16年J1ベストイレブン。日本代表では18年ロシアW杯メンバーに入り、国際Aマッチ38試合4得点。

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