【イタリア・ミラノ(4日)=大谷 翔太】日本スポーツ振興センター(JSC)が、ミラノ市内に構える日本選手団のサポート拠点を報道陣に公開した。2012年ロンドン夏季大会から始まった同サポートは、今大会で8度目。

広域開催の今大会は、ミラノなど3拠点に設置する。24年の夏季パリ五輪から敷地面積などは小さくなった一方「トータルコンディショニング」の質は変わらず。冬季五輪ならではの食のサポートなど、現地で過ごす日本勢の心強い味方を、記者が「見た」。

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 充実のサポートが、チーム・ジャパンを支えている。JSCがミラノに置く拠点は、選手村から歩いても10分強。出向けばトレーニング、コンディショニング、食環境が、アットホームな空間でそろう。「トータルコンディショニングという意味で、非常に手応えを感じている」と、統括責任者の久木留毅氏。24年パリ五輪から規模こそ小さくなったが、スタッフが込める熱量は変わらない。

 ★概要 

 敷地面積は約350平方メートルで、24年パリ夏季大会の9分の1ほど。運営費は約13億円から約7億2000万円とコンパクトになった。1年以上かけ選手村から近い拠点を探し、現地で2~3日をかけて約30か所を視察。トレーニングルームだけで評価項目は40に及ぶ。

最適だった料理スタジオを改修した。

 ★コンディショニング

 ハンドマッサージ器やストレッチポール、ズボンタイプの加圧ウェアなどセルフコンディショニングの道具がそろう。マッサージベッドも1台設置。超音波治療器に加え、静電気を利用し組織の細胞を活性化させる機械などがある。1台5~60万円程すると言い、専用のケースに入れて持ち込んだ。選手から要望が多いというのが交代浴。浴槽を計4つ設置し、500リットルのタンクを置いてボイラーで60度まで温め、温浴を用意した。担当者によれば選手村に浴槽はなく、シャワーのみ。「日本の選手はやはり、お湯につかりたいという選手が多い」という声に応えた。

 ★トレーニング

 ベンチプレスやスクワットが行えるパワーラックが3セット。フリーウエートを行うスペースが2つある。日本から持ち込んだワットバイクは6台用意。

ウエート器具は、スタッフが事前に自身でトレーニングを行い、安全性などを確認して現地でレンタルしたと言う。場所選びの際には、ウエートを落とす運動の際に生じる衝撃に、床が耐えられるかも確認し、従来の床の上にゴム製のマットを設置。選手村のウエート上では、フリーウエートの際に床が抜け落ちるハプニングがあったと言い、村外拠点ではそのようなアクシデントが無いよう、衝撃を吸収する床を別途設置している。トレーニング場は、多い時ではスピードスケート選手ら15人ほどが利用している。

 ★食事

 主菜選択型で、5日間のサイクルメニューとなっている。写真付きの献立が張り出され、選手は日々のメニューを確認できる。メニューにはカロリーや栄養成分表示が細かく記され、必要なエネルギーや栄養素を補うことができる。多くの選手が好むお米は、イタリア産だが日本品種のものを用意。担当の管理栄養士、蝦名果歩さんによれば、パリ五輪の選手村ではアジア圏の食事が提供されていたが、ミラノの選手村ではないという。野菜や魚、肉類は現地で調達し、3人の調理師が日本食を用意している。パリ五輪の時の人気メニューは薄切り肉の生姜焼きだったが、今回のイチオシは温野菜。「せいろ」を準備し、パカッと開ければ湯気が立つ。

心も温まるような“演出”で、選手の英気を養っている。

 久木留氏が「パリの時と機能は同じと言っても過言ではないと思う」と言い切る、ミラノをはじめとした施設。見た目はコンパクトだが、やはりそれぞれに提供されるサポートは充実している。特に食は、長丁場を現地ですごす選手にとっては大きな要素となるだろう。お腹だけでなく、心も満たされるような空間作りの工夫にスタッフの熱量を感じた。

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