【リビーニョ(イタリア)7日=宮下京香】スノーボード男子ビッグエア決勝で、初出場の木村葵来(きら、21)=ムラサキスポーツ=が今大会の日本選手団第1号の金メダルに輝いた。5日の予選を3位で通過し、決勝では高さのある5回転半トリックをそろえて計179・50点をたたき出した。

同種目では男女を通じて日本勢初の金。同じく初出場で予選10位通過の木俣椋真(23)=ヤマゼン=も銀メダルを獲得し、日本勢ワンツーを決めた。

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 思いをぶつけた。2本目を転倒して後がなくなった3本目。木村は横5回転半技を決め切り「勝ったな」と確信した。後から滑った前回王者の蘇、木俣に追随を許さず、日本勢初の金メダルは、今大会の金第1号。歓喜の瞬間は「爆発して真っ白」。丸刈りヘアを表彰台のてっぺんで初披露し「小さい頃からの夢がかなってうれしい。真ん中の台は高い。メダルは首が取れそうなぐらい重たい」と笑みが止まらなかった。

 土壇場で持ち味を発揮した。2本目で転倒し「追い詰められた」と感じたが、「誰よりも飛んで誰よりも立つ、爆発力が強み」と自分を信じた。

難度の高い逆スタンスから背中側に回る5回転半の大技で、気温マイナス5度の夜空に高々と飛んだ。着地も完璧。唯一の90点台だ。「オ~!」と無我夢中で観客をあおった。

 24年の右足首の脛腓靱帯(けいひじんたい)損傷が長引き、昨年の世界選手権で日本勢5人中唯一の予選落ち。「地獄だった」。W杯で勝ったことがなかった21歳がどん底からはい上がり、初五輪で初めて世界王者になった。

 4歳で板に乗り、14年ソチ五輪の角野友基らに憧れ、競技を始めた。子供の頃から、スノーボードをする父・友浩さん(53)と母、弟・悠斗(17)の家族4人で、地元・岡山から1台のハイエースに乗り込み、雪を求めて車中泊で国内を回った。昨年12月、その父から「雑念を捨てろ」と突然指令を受け、上6ミリ、横8ミリの丸刈りに。「気合が入るし、気に入っている」と感謝した。

 中学入学までは地元岡山のコナミスポーツクラブで体操競技に励んだ。

特に跳び箱が得意で、バック宙は今でもできる。試技会で1位を取るなど上級クラスに行けるほどの腕前。スノーボードの技でも「高さを出せる」と、恩恵を受けた。

 「機動戦士ガンダムSEED」の主人公キラ・ヤマトが由来。ガンダム好きの父に「きら」と名付けられた。中学2年でプロになる時、「宇宙一になれ」(父)と言われた。夢の五輪金メダリストになったが「まだ宇宙一ではない。ここからかな」と木村。次なる夢は弟・悠斗と「2人で五輪に出て、表彰台に乗りたい」。世界一から、宇宙一への旅は続く。

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 ◆木村に聞く

 ―日本勢初の金メダル。

 「小さい頃からの描いていた夢がかなってうれしい。

これが一番格好いい」

 ―周囲への思い。

 「有言実行。家族やコーチ、周りの人が手厚いサポートをしてくださった。結果で恩返しできた」

 ―勝因は。

 「オフはスノーボードをする時間が多かった。トリックの不安が去年は多々あったけど、今季は不安が全然なく、決めることだけを考えてやれたのは大きい」

 ―自分へのご褒美は。

 「(憧れの)大谷翔平さんが飼っているでこぴんと同じ犬種の犬を飼いたい」

 ―丸刈りの髪形が話題。

 「父にも短くしろと。いい感じに気合が入るので、髪形は気に入っています」

 ―五輪で見せられた姿。

 「この先、一般の方や子供たちが僕の姿を見て、少しでも『スキー場に行きたい』、『スノーボードをやりたい』と思ってくれていたらうれしい」

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