【リビーニョ(イタリア)8日】スノーボード男子ハーフパイプ(HP)日本代表の公式練習が、本番会場で始まった。1月のW杯で転倒し、複数個所骨折などの大けがを負った2022年北京五輪金メダルの平野歩夢(27)=TOKIOインカラミ=は約3時間、負傷の影響を感じさせない軽快な滑りを見せた。

競技は11日(日本時間12日未明)に予選、13日(同14日)に決勝を控える。連覇に挑む王者の姿を宮下京香記者が「見た」。

 ハーフパイプを滑る平野歩の姿に、一瞬目を疑った。この日は本番会場での公式練習初日のため、技の難易度や高さを抑えてはいたが、1月に負傷したことを忘れるぐらいスムーズに滑った。マイナス7度まで冷え込む中、軽々と背中側から1回転を繰り出したり、パイプの脇を10メートルほど歩いて登り、上から壁の形状を見るなど入念にチェック。負傷時に雪面に強打して流血した顔は、防寒具で覆っていたが、複数個所の骨折や打撲の影響は感じられなかった。午後6時半頃から約3時間、淡々とコースの感触を確かめながら、練習の最後まで滑り切った。

 驚異の回復力と言っていいだろう。平野歩は1月17日のW杯ラークス(スイス)の決勝1回目で技を出した際に転倒。顔や下半身を雪面に強打し、2回目を棄権した。緊急帰国して、病院で複数個所の骨折と打撲と診断されたが、国内で段階的に練習を再開。4大会連続となる五輪への影響が心配されたが、諦めることなくリハビリに励み、決戦の舞台にたどり着いた。

 リビーニョ入り後の7日には会場でのテスト滑走に参加し、この日の公式練習初日に臨んだ。日本代表の治部忠重ヘッドコーチ(54)は「(平野歩)本人も言っていたけど、あのケガから(ここまで)回復すると思っていなかったようで。日本でギリギリまで調整し、やれることは全てやってここに来た。見ていただいた通り(普通に)滑れていた」と、復帰までの努力をたたえた。

 11日(日本時間12日未明)の予選まであと3日となった。本番と同じ夜の会場で、順調な回復ぶりを示した王者。練習後に取材に応じた初出場の山田琉聖(19)=チームJWSC=は「正直、歩夢君が骨折していたのを忘れていて。忘れるぐらいの滑りをしていた。バケモンですね」と目を丸くした。連覇が懸かる五輪。大けがから驚くべきスピードで復活した日本のエースが、奇跡を起こす。

 ◆平野歩夢の負傷経緯 1月17日にスイスのラークスで行われたW杯で1回目のトリックで板が折れるほど激しく転倒し、顔付近や下半身を強打。

鼻や口から流血が止まらず、左股関節と右膝にも痛みを訴えて2回目を棄権した。一時帰国後の診断で複数個所の骨折と打撲と判明。五輪に向けて国内で段階的に練習を再開後に現地入りした。今月6日の開会式は参加しなかったが、7日に本番会場のテスト滑走に参加し、4回滑ってパイプの感触を確かめた。

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