ミラノ・コルティナ五輪のスノーボード・女子ビッグエアで、村瀬心椛(ここも)が金メダルを獲得した。親交のあるラグビー元日本代表で、村瀬にとっては“恩人”でもある堀江翔太氏(40)が10日、スポーツ報知の取材に応じ「よかったですね。

前回の北京五輪の時よりも、楽しんでいる感じが伝わってきて『楽しんでやってんねんな』と、思いながら見ていました」と祝福した。

 2人の出会いは22年北京五輪後。ある日、堀江氏が朝起きると、家族が村瀬の出演するテレビ番組を見ていた。村瀬は銅メダルの感想などを話していたが、堀江氏の耳に留まったのは当時17歳が言う「膝が痛くて」という言葉。村瀬は中学2年時に、右膝の膝蓋(しつがい)骨を手術。完治しない中、約3年半痛みを抱えながら競技に励んでいた。堀江氏は「膝が痛いということしか伝わってこなくて。まだ、あのときは10代。10代で、膝が痛くてって言ってるの、と。このままずっと痛くて30代、40代まで過ごすのもどえらいな、と思って。返信は返ってこないかもしれないですけど」と、SNSでダイレクトメッセージを送った。

 堀江氏は、自身を首の大けがから復活させ、W杯4大会連続出場に導いた佐藤義人トレーナーに師事。

「銅メダルを取って、これから次の五輪を目指すという時に、ちょっとした足し、手助けになれば」と、佐藤氏を紹介する意図でメッセージを送った。幸い、村瀬も当時膝の治療に苦心し、トレーナーを探していた時期だったという。両親を通じて「ぜひ、お願いします」と返信が届いた。

 佐藤氏を紹介し、村瀬も晴れて通称“サトトレ”のメンバー入り。堀江氏は、一度トレーニングを共にした際、その身体能力に驚いたという。「妹の由徠ちゃんとその時は来ていて。佐藤さんのトレーニングはどこの体をどう使うかと、細かくて難しいトレーニング。人によっては全くできなかったりするけど、心椛ちゃん、由徠ちゃんはスッとできて。『やっぱり10代で、メダリストってすごいですね』と佐藤さんと話したのを覚えています」。サトトレを通じ努力を重ねる中で、膝の痛みもやわらいだという。

 年齢も遠い村瀬に、直接何かを教える機会は少なかったが、常に気にかけていた。「佐藤さんに、ガンガン教えてあげてください、と言って。

心椛ちゃんやお母さんにもガンガン聞いて、やるだけやった方がいいという感じで言っていました」。実は堀江氏、1年前からスノーボードを始めたという。「厚かましくも」と一度、村瀬に助言を求めたことを明かし「『軸をこうしたら滑れますよ』って来たんですけど、『全然分からへん』と、返信しました(笑)」。いつか一緒にゲレンデに出向くことを望みつつ「だんだん、おそれ多く…。最初は友達、後輩という感じで接していましたけど、金メダルまでいくと。ちょっと、おそれ多いですね」と謙遜した。

 今大会中は、予選終了後に「決勝、おめでとう。楽しんで」と伝えると「楽しみます!」と返事が来た。さまざまなジャンルのアスリートをサポートする「サトトレ」。堀江氏が初めて自ら声をかけた村瀬が、スノーボードで悲願の金メダルを獲得した。喜びもひとしお。堀江氏が願うのは「長く、続けてほしい」ということだ。

「自分が膝をけがして、どん底からはい上がってきたプロセスを彼女は知っている。そのプロセスを周りと共有して、次につなげてほしい。彼女には長く、トップでやり続けてほしいですね。そして妹の由徠ちゃんと、いつか金メダルを争ってほしいなと思います」

 堀江氏は「おそれ多い」としながらも、村瀬とお祝いの席を設けたいと考えている。海外遠征も多いスノーボード選手、同氏は「日本食ですかね…」としつつ、思考を巡らせる。「心椛ちゃんと由徠ちゃん、何が好きなんやろ(笑)。僕なんか、たいしたもの食べてきていないので。実現すれば、周りの大人たちに相談したいと思います。2人の好きな物を聞いて、ちょっとしたお祝いをしたいですね」

 日本勢初の五輪女王となった村瀬。16日からはスロープスタイルが始まる。2種目でのメダル獲得で、堂々の凱旋を果たす。(大谷 翔太)

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