俳優の神尾楓珠が、元欅坂46で歌手の平手友梨奈との結婚を電撃発表した。神尾を初めてインタビューしたのは2021年。

初めての主演作が舞い込み始めたころ。若手特有のギラギラした野心や、背伸びして自分を必要以上にカッコ良く見せようというような気負いがまったくなく、等身大の自分のままでこちらに接してくれる印象だった。

 強い眼力が映えるビジュアルで、当時「国宝級イケメン」という冠で話題となっていたが、当の本人は「複雑です」と淡々と答えていた。好きな作品やあこがれの人について尋ねても「映画は人生で100本も見ていないと思う。演技論をぶつけ合ったりするのも苦手で…」。自分を取り繕わず、正直に明かす姿に好感を持った。

 「俳優として、というよりも、“人として”ここは守りたい部分というのはありますか」と質問を投げかけると、少し考えて「媚(こ)びている人を見るのが苦手なんです」と語った。「そういう場面に遭遇すると困ってしまうんですよね。だから自分自身も媚びたくはない。無理せず、自然体のままで生きていけたらいいなと思います」。今思うと、人生をともに歩むパートナーに、「媚び」とは対極にあるような平手を選んだのも納得の選択であるといえる。

 幼稚園年長から10年以上、サッカーに打ち込んだスポーツ少年。

地元の強豪高校のサッカー部に入ったが「競争よりも、大勢の中に自分がいることで生まれる人間関係が苦手だった」と退部。芸能界には興味はなかったが「家族に『普通に大学行って普通に就職する方が、性格に合ってるんじゃない?』と言われて。それが悔しくて、ちょっと見返してやろうかなぐらいの気持ちで…」と高校を転校して俳優の道を目指した。

 自身を発掘し、導いてくれた当時の所属事務所の社長への思いは今でも持ち続けている。2018年に病のため死去。昨年1月に取材した際にも「僕のことを見つけてくださった人。『神尾が売れるまで俺は死なない』って言ってくれていたんですけど、僕が仕事をいっぱいもらえるようになる前に亡くなってしまったので、今の姿を見てもらえたら良かったなっていう心残りはあります」と感謝の気持ちを語っていた。

 地に足のついた義理堅い男。27歳になり、俳優としてもさらなる活躍が期待される局面で、人生の伴侶を得た。一般論でいえば「家庭を持つことで表現の幅が広がりそうだ」という締めくくりがふさわしいのかもしれないが、神尾の場合は紋切り型の表現は合わない気がする。変わらず自分らしく、等身大のままで生きていってほしい。おめでとうございます。

(宮路美穂)

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