◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽ノルディックスキー・ジャンプ 混合団体(10日、イタリア・プレダッツォ)

 【バルディフィエメ(イタリア)10日=松末 守司】チーム一丸でつかんだ銅メダルだ。2022年北京五輪では、高梨沙羅(29)=クラレ=の失格の影響で、4位に終わったジャンプ混合団体。

重圧の中で挑む高梨を「キーマン」と位置づけ、小林陵侑(29)=チームROY=、二階堂蓮(24)=日本ビール=が盛り立てた。丸山希(27)=北野建設=を含めた4人が全員が大きなミスなくつないだ。高梨の4年間の苦闘を、松末守司・五輪担当キャップが「見た」。

 高梨は不器用なまでにまっすぐに競技と向き合ってきた。10代前半から18年平昌五輪まで担当し、昨季24~25年シーズンに再びジャンプ界に戻った時、久しぶりに会った高梨に「変わらないな」と思ったのが率直な意見だ。

 経験を重ね、オンとオフの切り替えはうまくなったが、こと競技に関しては鬼気迫るほどのオーラを発する。昨季、足を前後して着地するテレマーク姿勢の比重が高くなったことで重点的に強化していた。夏の練習で自分よりも若い選手にも積極的に助言を仰ぎ、普段の生活で階段を降りるときなどでもテレマーク姿勢で降りたりする。周囲が「飛距離を求めた方がいいのでは」と話しても「ジャンプは流れのスポーツ。点を線でつないでいかないといけない」と頑なだった。

 W杯で男女を通じて最多となる63勝を挙げる。頂点を極めても、目の前のことに妥協しない。

18年平昌五輪で銅メダルを手にした時にジャンプを一から見直したが、今夏もゼロから作り直した。

 助走路の姿勢の組み方から踏み切り、そして空中と陸上トレーニングから男子のW杯45勝を挙げるシュテファン・クラフト(オーストリア)の映像と見比べ、違いを探った。札幌・荒井山の小さなジャンプ台を飛ぶ新たな試みも行った。

 20年近く高梨を指導する牧野講平トレーナーは「着地ひとつとっても手の上げ方を何通りも試したり、この年になってもここまでやるか、という細かいこともやってきた。ここまで努力するアスリートはなかなかいない」と話す。飽くなき努力と競技に真っ向からぶつかっていく真摯(しんし)な姿勢が、メダルを引き寄せた。

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