◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 1月から映画担当になった。様々なジャンルの作品に触れ、取材を通して隠されたエピソードを知ると、新たな道を開拓していくような新鮮な気持ちになる。

 先日、映画「爆弾」でブルーリボン賞助演男優賞を受賞した佐藤二朗(56)を取材した。他社と合同ではあったが、私にとって初のロングインタビュー。佐藤が劇中で見せた、狂気をはらんだ丸刈りで10円ハゲのある、謎の中年男の怪演に、緊張と若干の恐怖心を抱いていた。だが、明るい声色と豊かな表情で質問に丁寧に応じる姿に引き込まれていった。

 取材終盤、優しい雰囲気の原点を聞かれると「人に劣等感を与えない」というポリシーがあると教えてくれた。「劣等感を与えないって、(劇中で演じた)スズキタゴサクなんてピッタリ。風貌(ふうぼう)も含め、誰だって『こうはなりたくないな』って思うじゃない。でも、(人の)本当の価値って見かけがいいとか、きれいな服を着ているとか、そういうところにはない気がする」。約30年にわたってキャリアを築き、数々の作品を彩ってきた大ベテランだが、どこか親近感を覚える理由が、この言葉にあると思った。

 佐藤の言葉は「人生の先輩」として心に響いた。ルーキーの私は仕事相手のほとんどが年上で「若いからってなめられないように」と、必要以上に服装や髪形に注意してしまうこともしばしば。でも、外見よりも内面を磨き、佐藤のようなおおらかな人になれるように歩んでいきたい。

(芸能担当・高澤 孝介)

 ◆高澤 孝介(たかざわ・こうすけ)2025年入社。国学院栃木高、国学院大野球部の同級生、シャピロ・マシュー一郎投手がオリックス入団。

編集部おすすめ