◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽スノーボード・ハーフパイプ(13日・リビーニョ・スノーパーク)

 1月の大けがから執念の復活を見せた前回王者の平野歩夢(27)=TOKIOインカラミ=は、大会で初めて超大技「ダブルコーク1620」を決めたが、完遂できずに86・50点。自ら奇跡的と表現して、たどり着いた大舞台は7位だった。

 大きなチャレンジをやり遂げた。満身創痍(そうい)で戦い抜いた平野歩の表情は、悔しさと安堵(ど)の感情が入り交じった。連覇に届かぬ7位。4大会連続出場した冬季五輪では初めて表彰台に届かなかったが「今の状態で、マックスに向き合ってチャレンジできた。結果を抜きに、自分にとってプラス。いい経験になった」と受け止めた。

 夢の金メダルに輝いた22年北京五輪後、“夢の先”としてミラノまでの4年、己の限界に挑戦した。その中、五輪まで25日と迫った1月17日のW杯で転倒。右骨盤骨折など複数箇所を負傷し、膝は通常の2倍に腫れた。日本に帰国してリハビリし、雪上復帰したのは、イタリア入り後の今月7日だった。「生きていて良かったなという気持ちに今はなれている」。決勝を終えると率直に振り返った。

 万全ではなくても、勇敢に挑むのが平野歩。「回転すると痛みにつながる。痛み止めを飲んで、リスクをかけて最後、挑んだ」。そして2回目の3発目だった。「調整が間に合わずぶっつけ(本番)だった」。持ち前の高さを出し、大会で初めて挑戦する超大技「フロントサイド・ダブルコーク1620」(腹側に縦2、横4回転半回す技)を決めた。会場から大きな「AYUMU」コール。雄姿をたたえる拍手が、平野歩の挑戦の価値を証明していた。

 年下の戸塚が金メダル。4年後の五輪挑戦については「まだ考えていない」と話すにとどめた。ただ、「強くなる方向に進化したい」としっかりと視線を上げた。負傷後、「1%でも可能性があるなら」と強行出場を決めた自身4度目の五輪を終え、「夢の先に向き合えたことが貴重な時間。

前回の五輪とは違う状況での大会になったが、無駄なものは何ひとつない。進化していく姿を届けられるよう、自分らしくやっていく」と言い切った。次なる挑戦が待っている。(宮下 京香)

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