◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽スノーボード・ハーフパイプ(13日・リビーニョ・スノーパーク)

 男子の戸塚優斗(24)=ヨネックス=が、悲願の金メダルをつかんだ。3大会連続出場の24歳は苦い思い出のあった五輪の舞台で頂点に立ち、男泣き。

同種目の金メダルは、2022年の平野歩夢(27)=TOKIOインカラミ=に続き、日本勢2人目の偉業となった。

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 戸塚と平野流を指導するプロスノーボーダーの青木亮さん(38)が、金メダリストの原点を明かした。ヨネックスの育成チームで小学5年の戸塚を初めて見た。「板の真ん中に乗る技術と体幹が強く(滑走時に)軸がぶれない子」と目を見張る素質があった。平野流がコツコツと「努力型」だとしたら「天才型」という。

 周囲が「泣き虫」と口をそろえる戸塚。青木氏も「技ができない。悔しい。泣く」と子供の頃の印象を語る。週末に地元・横浜から母・真由美さんの送迎で山梨の施設に通い、雪上では午前9時から午後2時まで練習した。青木さんの指導の軸は「考える癖をつける」。飛び出しが約10センチずれると、落下地点は1、2メートルもずれる競技。

足のどの指に力を入れるかなど細部まで作り上げた基礎が「誰よりもうまい」と、屈指の滑走技術につながっている。

 16歳で五輪に初出場した戸塚を追うように、同学年の平野流も力を付け昨季、W杯を種目別3連覇した。「(戸塚)優斗は焦りがあったと思う。点が出ない。苦しい時期」と青木さん。戸塚も「何度も辞めたいと思った」という。「優斗はそこで踏ん張って、より努力をするようになった。恐ろしいほどうまくなった」と苦しい時期を乗り越え、大きく飛躍した。

 岐阜・高鷲スノーパークなどでハーフパイプを作る際には、あえて厳しい設定にして、嫌がる戸塚を滑らせた。出会って13年。戸塚の金メダルは、親身に指導してくれた青木さんへの最高の恩返しとなった。(宮下 京香)

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