二階堂の強さの秘密はジャンプの聖地、北海道・下川町にある。江別市出身だが「強くなりたい」という気持ちを胸にジャンプ留学した。

札幌から北東に約240キロ。人口3000人にも満たない小さな町だが、過去には岡部孝信、葛西紀明ら多くの五輪メダリストを輩出してきた。

 町には照明器具を備えた8メートル級から65メートル級まで4基のジャンプ台がある。娯楽は少ないため、学校が終われば歩いていけるジャンプ台が必然と“遊び場”になる。少年団のコーチで町教委の指導専門職員でもある伊藤有希(土屋ホーム)の父・克彦氏(59)が中心となり、町をあげて競技向上と底辺拡大に取り組んでいる。五輪にも町民が現地に駆けつけ、オレンジ色のポンチョを着て声援を送る。その風景は冬季五輪の風物詩でもある。

 小さい台でアルペンやクロスカントリーの細いスキー板を履き、助走姿勢を組んで飛ぶ。ジャンプの生命線とも言える助走路の滑りを徹底的にたたき込んできたほか、ジャンプ台をつくるのもすべて自分たち。飛ぶことへの感謝の心も養う。「どうせ飛ぶなら世界一」が少年団のスローガン。伊藤氏は「世界で活躍する先輩たちがいる。

世界を身近に感じられるし、ここでやれば世界で勝てると思って練習できるのは大きい」と話す。

 二階堂も高校時代はジャンプ台が遊び場だった。アルペンのスキーを履いてバク転して周囲を驚かせる運動神経に、父から受け継いだ技術、下川町の指導と伝統が融合した。

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