俳優の柄本佑(39)が主演映画「木挽町のあだ討ち」(源孝志監督、27日公開)で江戸時代の仇討ち事件の真相を探る遠山藩の元藩士・加瀬総一郎役を演じた。愛嬌(あいきょう)のある猪突(ちょとつ)猛進なキャラクターで、イメージは時代劇版の刑事コロンボ。
運命的に出会った作品だった。父で俳優の柄本明(77)が木挽町(現在の東京都中央区銀座)の生まれ。原作が発売された段階で「おやじが生まれたところの物語だな」と書店で購入し、一気に読み上げたという。
出演オファーには「妙な縁だな」と喜び、快諾。歌舞伎を題材にした映画「国宝」が記録的な大ヒットとなったことも追い風となり、「勢いに乗っかっていきたいですね。歌舞伎、時代劇といっても、気負うことなく、エンターテインメントとして気楽に楽しんでいただけたら」と成功を願っている。
時代劇版の「刑事コロンボ」を意識した。自身はストーリーテラーのような存在で、森田座の座付き作家・篠田金治(渡辺謙)ら仇討ち事件の真相を知る人々からエピソードを聞く役どころだ。「一応、加瀬が主役になっていますが、物語の中心は金治さんたち森田座アベンジャーズ。次々に証言者と会って逸話を引き出すから、毎日違う映画を撮っているような感覚だった。一見、のんきな人ですけど、受けの芝居だから毎日、本当に疲れました」
東映京都撮影所に森田座のセットを造り、江戸の芝居小屋が忠実に再現された。
渡辺とは初共演。父と義理の父(奥田瑛二)が渡辺とは旧知の仲で、「親近感を感じていたので、初共演とは思えなかった。おおらかで懐が深くて、どんな芝居をしても受け止めてくれました」。なにわ男子・長尾謙杜(23)、北村一輝(56)ら多彩な共演者がそろい、「老若男女、誰もが楽しめる王道エンターテインメント。映像の美しさがあって、物語の見応えも存分にあります」と胸を張る。
演技は事前の打ち合わせに頼らず、本番の化学反応を楽しむタイプ。「『ああしよう、こうしよう』と決めてやると、芝居が貧相になる。せっかく、無限の可能性があるのに、可能性を狭めてしまう気がするんです」。
物心ついた頃から映画好き。「映画の会話しかない家庭だったので」。10代前半で「美しい夏キリシマ」(黒木和雄監督)から映画の世界に足を踏み入れて四半世紀。「役者になりたいというより、映画の撮影現場の仲間入りをしたいと思って俳優になった。最高に楽しくて刺激的。今後も、その現場にいさせてもらえるように努力は怠ってはいけないと肝に銘じてます」。永遠の映画少年。意欲が衰えることはない。
◆柄本 佑(えもと・たすく)1986年12月16日、東京都出身。
◆「木挽町のあだ討ち」 文化7年(1810年)1月6日、江戸の木挽町(現在の銀座)。芝居小屋「森田座」に田舎侍の加瀬総一郎(柄本)が訪れる。1年半前に起きた仇討ち事件の詳細を探りにきた。総一郎の縁者である伊納菊之助(長尾謙杜)が、いかにして父・清左衛門(山口馬木也)を殺害した作兵衛(北村一輝)を討ち取ったのか。回想形式の推理劇で随所に芝居への愛とユーモアが盛り込まれている。森田座の座付き作家・篠田金治役を渡辺謙が務めている。

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