◆ミラノ・コルティナ五輪▽フィギュアスケート(15日、ミラノ・アイススケートアリーナ)

 ペアのショートプログラム(SP)が行われ、昨季世界選手権覇者の三浦璃来(24)、木原龍一(33)組=木下グループ=はリフトで痛恨のミスが出て73・11点、5位と出遅れた。首位のハゼ、ボロディン組(ドイツ)とは6・90点差。

初出場の長岡柚奈(20)、森口澄士(24)組=木下アカデミー=は59・62点で最下位の19位で、上位16組によるフリー進出はならなかった。2014年ソチ五輪に木原と出場した高橋成美さんは「りくりゅう」の逆転金メダルに期待を寄せた。

 「りくりゅう」の2人ですが、動き自体はすごく良かったです。リフトで大きなミスがありましたが、レベル2の技としては、点数に加えられていました。トップとは約7点差。まだまだ逆転が可能な位置につけています。

 リフトは、女性のポジションをチェンジしてレベルを上げるときに起こったミスでした。私から見ると、三浦選手のポジションをチェンジするタイミングと木原選手がポジションをチェンジしようとするタイミングがずれてしまっていた。2人の中心としている軸が、ちょっとしたタイミングでずれてしまったように映りました。

 例えば、両足で立っていたものを片足で立とうとするときに、事前に重心を片足にシフトさせないと立てないですよね。リフトは2人でやることなので、まだ1人が両足重心にいるときに、1人が片足重心に移動してしまうと、中心がずれてしまうのです。

 ただこれは、「りくりゅう」にとっては非常に珍しいことですが、ペアの普段の練習では、よく起こるミスなのです。

決して調子が悪いわけではなく、たまたま起こってしまったこと。調子は私から見ていても良かったですし、本番も調子は良かったです。本人たちも映像を見直さないと何が起こったか分からないとインタビューで言っていましたが、本当にちょっとしたずれが失敗につながってしまったものです。

 気持ちを切り替え、その後のスロージャンプやステップシークエンスにつなげたところはさすがです。ペアの選手はリフトの大切さを身にしみて分かっています。リフトは特にSPに入っているエレメンツの中で一番大きな点数を占めますし、彼らにとっての強み。加点を武器としていたものが、加点をもらえずレベルを下げてしまった。何が起こったかを理解すると同時に、本来だと気持ちが少し切れてしまったりするものですが、切らさずに約7点差に踏みとどまったことは明日のフリーにつながります。逆転したときには、SPでの切り替えが勝負を決めたと言えると思います。

 トップに立ったミネルバファビエンヌ・ハーゼ、ニキータ・ボロディン組は、スケーティングスキルが高くないとできない見せ方を細かいところまでできる実力者です。大会前から「りくりゅう」のライバルになるであろうペアはこの2人だと予測されていました。ただ、「りくりゅう」のリフトが今日しっかりはまっていたら、圧倒的に上に行っていたと思える実力の差はあります。

 事前に考えていたよりは厳しい状況ではありますが、希望はあります。フリーに向かっていくうえでの「余裕」は予想していたものよりなくなりましたが、特に「りくりゅう」のフリーは滑る度に磨きがかかっています。励ましだけの言葉ではなく、冷静に数字上で考えたうえで、本当に逆転が可能だと思っています。

 初出場の「ゆなすみ」はフリーに進めませんでしたが、存在自体はアピールできたと思います。ジャンプでの転倒が重なりましたが、強みであるリフトやステップシークエンスの勢い、そういったところでしっかりアピールはできていました。この悔しさがバネになって飛躍する未来が見えるほど、ポテンシャルを感じる演技でした。(2014年ソチ五輪代表)

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