記者席をバンッとたたき叫びながら立ち上がる左隣の海外記者に、思わずビクッとした。日本勢がダブルメダルを獲得した13日のフィギュアスケート男子フリー。

ショートプログラム2位のシアオイムファ(フランス)が、冒頭の4回転ルッツで転倒した瞬間だった。その時、暫定1位の椅子に座るのはカザフスタンのシャイドロフ。立ち上がった記者はシアオイムファが失敗する度に、両拳を握りながら顔を紅潮させていった。

 どこの国の記者かは言うに及ばず。シャイドロフのメダルが確定したら納得したのか、王者マリニン(米国)がまさかの大崩れとなっても静かにしていた。果たしてカザフスタンに初の金メダルをもたらした21歳。最終滑走のマリニンは勝者をたたえ、2人はハグを交わした。美しい光景に、私の中にあるモヤモヤは消えた。やはりスポーツにおいて、人の失敗を喜ぶのはふさわしくない。(大谷 翔太)

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