東京映画記者会(スポーツ報知など在京スポーツ7紙で構成)が選ぶ「第68回(2025年度)ブルーリボン賞」の授賞式が17日、都内で行われた。

 「TOKYOタクシー」で1977年度の「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」以来、48年ぶり3度目の監督賞に輝いた山田洋次監督(94)は舞台袖から黒のスーツにサングラス姿で登壇。

満場の大きな拍手を浴びた。

 マイクの前に立つと「何よりも東京映画記者会、審査員の方々にお礼を言わないといけない。最初に(監督賞を)もらったのは60年前。まだ、ここにいらっしゃる方はみんな生まれてない」と、受賞者たちを見ながらニヤリ。

 「初めて監督賞をもらって、とても信じられない思いでここの舞台に立ったことをよく覚えています」と振り返ると、「監督賞は本来ならば、本筋ならば李君が受けるべき賞なんだろうけれども」と興収200億円メガヒットの「国宝」で作品賞の李相日監督を見ながらポツリ。

 「多分、長い間、よく頑張ったなという思いを込めて僕に下さったんだろうと思いました。この年になって、こういう賞をもらえるってことはなかなかないんだろうってことで、とても幸運だったなと。改めてスタッフの皆さんと一緒に喜びを味わいたい」と笑顔で話すと「60年前は映画がまだまだ力があった。今、日本映画の売り上げが上がったのはアニメーション映画。僕らのつくる劇映画には切実な思いがある。そういう中で、こういう映画賞を続けていただいたのが、僕たちの励みになります」と主催者側に感謝。

 「これから大変な時代を僕たち映画界の人間は経験していく。

劇映画が元気がない。なんとかしないといけないと切実に思ってます」と決意表明。

 興収16億円を突破した受賞作「TOKYOタクシー」は仏映画「パリタクシー」を原作に、山田組に不可欠な倍賞千恵子(84)と「武士の一分」(06年)以来の木村拓哉(53)が共演。波乱の過去を持った老婦人とその女性を乗せるタクシー運転手との心の動きを細やかに描いた。

 かねてから大ヒット映画「国宝」を激賞していた山田監督。この日、作品賞受賞者として出席の李監督が隣に立つと「劇映画はドラマによって構築されてているんだけど、李くんはドラマをしっかり捉えている。だから長い(上映)時間でも飽きない。思い切って途中でひっくり返して見せる。音楽で言うと現代音楽に近いそういう作り方をしている彼をとても尊敬しています」とエール。

 「TOKYOタクシー」の現場にも見学に行ったという李監督も「寅さんやスタンスの違う作品で学んできた。山田監督はドラマツルギーというか映画の文法がきちんとしていて、俳優さんがきちんと生きている。作品群を勉強させていただいた。

その山田監督が半世紀以上、映画を作られながらも今でも新しいものに対して敏感に反応されている感性には畏怖の念しかない」と、その監督としての生きざまを絶賛した。

 最後に「喜劇が撮りたくて撮ってきたんだけど(60年前の受賞で)一つ低く見られていた喜劇を評価してくれて、とてもうれしかったのを覚えています。映画館で大笑いする映画を撮りたいって気持ちを今でもたっぷり持ってます」と94歳の巨匠は意気軒高に言い切った。

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