ミラノ五輪フィギュアスケート、ペアのフリープログラムが行われ、ショートプログラム(SP)5位の世界チャンピオンの三浦璃来、木原龍一(木下グループ)組は世界歴代最高の158・13点をマークし、合計231・24点で逆転し金メダル。日本ペア初の表彰台に上がった。

 木原が19年にアルバイトとして働いた名古屋市のスポーツ複合施設「邦和みなと スポーツ&カルチャー」を運営する東邦ガス不動産開発の飯岡裕輔さん(34)が17日、スポーツ報知の取材に応じた。

 19年春、須崎海羽さんとのペアを解消し、拠点先の海外から帰国した木原は、古巣の同所で練習を再開。同時に自ら志願してアルバイトを始めた。競技練習と両立して週3回の勤務。スケート靴の貸し借りやスケートリンクの見守りなどを行った。飯岡さんは「コミュニケーションが上手な方。人なつっこくって、たわいもない会話でもつなげられる。一緒に働くのは、非常に楽しい時間でした」。老若男女問わず愛される人柄で、同僚たちからもかわいがられていたという。

 明るい素顔の一方で、スケート選手としての将来に漠然とした不安を抱いているように感じ取ったという。ある日、貸し靴コーナーで木原が漏らした一言が「自分と同年代の人が社会人をしている中、自分はスケートしかやってきていない。今後どうしたらいいのか」。

飯岡さんは「ペアとして今後やっていけるのか悩んでいるようで、彼の本心だと思いました」。

 その年の7月、同所で三浦とのトライアウトが行われた。「僕は立ち会えませんでしたが、後日『どうだった?』と聞くと、笑顔で。すでに相性の良さを感じ取っているようでした」。すぐにりくりゅうペアは結成。アルバイトを退職し、お盆には拠点を再度海外に移すことになった木原の壮行会を開いた。「僕たちから『頑張ってきてね』と言った記憶があります。木原君は、久しぶりの故郷への長期滞在だったこともあって『ものかなしい』って」と明かした。

 りくりゅうペアを結成後も木原は、一時帰国の度に遊びに来ているという。「いつもフラッと来てくれる。子どもさんをリフトしたり、ペア競技のまねごとをしてあげて、面倒見いいことをしていましたね。ちっちゃい子からすれば、身近ないいお兄ちゃんだったと思います」。

りくりゅうペアとしては2度訪問。「いつ来ても仲がいい印象。木原君が『璃来ちゃん、あれした?』『忘れ物ない?』って。日常のコミュニケーションがしっかりしていて、それが練習に、試合につながっているんだと感じました」。昨年12月に名古屋市で行われたグランプリファイナルでは、木原が「練習がしたい」と直接同所に連絡を入れ、調整の場として使用したという。

 飯岡さんはこの日、自宅で観戦。表彰台のど真ん中に立ち、金メダルを見つめて涙する木原の姿にぐっとくるものがあったという。「前回のペアを解消して、りくりゅうを結成する道筋を知っている者としては、ジーンとくるものがありました。けがなく、無事に滑ることができて、本当に良かったと思いました」と感慨深げだ。同所でもりくりゅうペアの快挙を祝う企画を検討中だという。

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