ミラノ五輪フィギュアスケートでペアのフリープログラムが行われ、ショートプログラム(SP)5位の世界チャンピオン、三浦璃来、木原龍一(木下グループ)組は世界歴代最高の158・13点をマークし、合計231・24点で逆転し金メダル。日本ペア初の表彰台に上がった。

りくりゅうペアのスケート靴のブレード(刃)を手掛ける特殊鋼加工メーカー「山一ハガネ」が17日、スポーツ報知の取材に応じた。

 2015年、バンクーバー五輪代表の小塚崇彦さんと共同でブレードの新規開発に挑んでいた同社に一本の電話が入った。すでにペアに転身していた木原からだった。「ぜひ、使わせてほしい」。同社の広報・嶋本敏久さんは「後にも先にも直接電話をかけてきたのは、木原選手だけです」と笑って振り返る。

 創業99年の同社は、鋼を卸す商社。小塚の親族が同社で働いていたことをきっかけに、13年から開発に取り組んだ。それまで主流だった海外製品は複数の部品を溶接でつなぎ合わせるため、4回転の衝撃に絶えられず。同社は1つの特殊鋼から削り出す独自の製造製法によって軽さと丈夫さを兼ね備えたブレードを作り上げた。「体格のいい人は貴重なデータになる」と同社が見込み、木原は開発段階から参加し、発売がスタートした18年から現在に至るまで使用中。三浦はりくりゅうペア結成後から。2人そろって「翔」モデル(2本セット、14万8500円)を愛用中で、「より負荷がかかるペア競技に適している」と嶋本さんは語る。

 毎年、シーズンオフの春に2人そろって来社するという。「お忙しいのに、非常に律義なおふたりですよね。特に木原選手は人間ができている丁寧な方。あんなにスーパースターなのに謙虚」と力を込める。

 今大会では、男子シングルと団体で銀メダルを獲得した鍵山優真を始め、三浦佳生、「ゆなすみ」ペアの森口澄士に提供。かつて同社のブレードを使用した五輪メダリストには、宇野昌磨さんがいる。「我々はスケート文化が盛んな名古屋の会社。支えることで社会貢献になると思っています。さらに、結果を出していただいて、非常に励みになります」と語った。

 同社の寺西基治代表取締役社長もコメントを発表し「世界歴代最高得点…鳥肌が立った!金メダル確定…涙がとまらなかった!」と興奮気味。続けて「選手のパフォーマンスを氷につなぐ唯一のツールとして、その役割の重要性を深く感じております。こうして表彰台の高みに連れて行っていただき、スタッフ一同、深く感謝しております。

これからも、多くの選手が安心して最高のパフォーマンスを発揮できるよう、最高の品質を追求し改良を重ねてまいります」とつづった。

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