◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽スノーボード(18日・リビーニョ・スノーパーク)

 男子スロープスタイル(SS)の決勝が行われ、初出場で予選9位から出た長谷川帝勝(たいが、20)=TOKIOインカラミ=が猛チャージに成功し、銀メダルに輝いた。同種目でのメダル獲得は男女を通じて初めて。

悪天候の影響で約1時間前倒しで行われた決勝の1回目に82・13点のビッグスコアをマーク。ビッグエア(BA)で11位に沈んだエースが雪辱を果たし、冬季日本勢の1大会歴代最多を更新する大台20個目の獲得メダルの上積みに貢献した。BAで銀メダルの木俣椋真(23)=ヤマゼン=は11位だった。

 華麗に、軽やかに、アグレッシブに跳んだ。長谷川の決勝1回目。予選とは異なる攻めの構成をノーミスで決め、ゴールと同時に左手を振り上げてガッツポーズ。82・13点をマークし、メダル圏内を最後まで死守。ヘルメットを脱いで自慢の茶髪パーマをなびかせた。日本スノーボード界の“鬼門”の種目で男女通じて初のメダル獲得となった。

 「1番は結構ホッとしたというか、今年結構ビックマウスの割に結果も出せなくて、ちょっと不運とかも重なって結果も出せてなかったり。それでも諦めずに滑り込んで努力を続けて、小さなことをコツコツとこうやった結果が実を結んで。努力できる環境を作ってくれたのは、やっぱり周りの人たちのおかげだし、そういう人たちのおかげでここにシルバーメダリストとして立ててるので、すごい感謝の気持ちとほっとした気持ちっていう両方の気持ちがあります」

 メダルが期待されたビッグエアは11位に終わった。

会場入り後に体調不良に見舞われ、一時は37・6度まで上がった発熱に加えて下痢の症状も続いていた。それでも「終わった瞬間から次の準備が始まっていた」とこの日に照準を合わせた。大雪に見舞われ、練習中止となった16日も「こういう日こそ滑らないと」と感覚を研ぎ澄ませ「リズムが大事」とにらんだコースを持ち前の滑走技術で攻略した。

 「帝勝(たいが)」という名前には「帝王に勝って1番になれ」という父・俊介さん(51)の思いが込められている。男子ゴルフ界の英雄・タイガー・ウッズや虎(タイガー)などから着想を得たという。

 サッカーと並行していたが、小学6年時にスノーボードに絞った。幼い頃からスノーボード一本で励んでいた女子BA金メダルの村瀬心椛(21)、同学年の荻原大翔(20)に技術的な遅れを感じ“練習の虫”になった。練習施設にはオープンと同時に入り、1番最後に出た。父は「腹8分目」と練習量を抑えるのが役目になった。指導する阪西翔コーチは長谷川を「生粋の負けず嫌い」と表現する。

 ド派手な茶髪のパーマ姿が印象的だが、地道な努力家としての側面も持つ。小学生時代、練習内容や指導者からの指摘をメモする「サッカーノート」をつけていた習慣を、スノーボードに持ち込んだ。

テーマに「ゼロこ(転)け」と記し、写真と手書きの文章で日記をつけた。「小さな積み重ねが、追い込まれた時に必ず生きる」。“練習の虫”のたゆまぬ努力は、五輪の大舞台で実を結んだ。(宮下 京香)

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