◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽スノーボード(18日・リビーニョ・スノーパーク)

 【リビーニョ(イタリア)18日=宮下京香】女子スロープスタイル決勝が行われ、初出場の19歳・深田茉莉(まり、ヤマゼン)が冬季五輪日本女子史上最年少で金メダルに輝いた。3回目に87・83点をたたき出し、今大会の日本選手団では1998年長野大会に並ぶ史上最多5個目の金メダルを手にした。

ビッグエア金の村瀬心椛(ここも、21)は銅メダル。男子の長谷川帝勝(たいが、20)=ともにTOKIOインカラミ=の銀メダルと合わせ、金、銀、銅を集め、スノーボードの日本勢勢は今大会9個目のメダルと大躍進した。

 冬季五輪の日本女子史上最年少で金メダルが決まると、深田は開いた口を両手で覆った。村瀬に「よく頑張ったね」と抱き寄せられ、歓喜の涙。19歳の新女王は「信じられない。金メダルはすごく重くて、今までが詰まっている。スノーボードをやってきて本当に良かった」と感慨に浸った。

 大雪の影響で1日延期になっても、冷静な判断が光った。前日も雪の中、一人滑り込んだ19歳は、2回目の1つ目のジャンプで1回目に失敗した技を1回転下げて決めて85・70点で首位に立った。圧巻は3回目。得意のジブをノーミスで滑ると1つ目のジャンプで勝負に出た。再び1回転上げた逆スタンスから背中側に横3回転半の大技を唯一、決めた。

佐藤康弘コーチ(51)と直前の公式練習で滑って決めた構成で、セクションで満点を出す戦略も奏功。普段はおとなしい19歳が両拳を2度も握り、喜びを爆発させた。「五輪という場所で多くの人に見てもらえて、自分のランが決められたのもうれしい」と声を弾ませた。

 小学1年の時にスノーボードを始め、最初の頃は兄・渚さん(22)と滑走技術を要するアルペン競技に熱中した。部活は、中学まで陸上部で短距離選手。男子顔負けの技、強い足腰を作り上げた。「茉莉は動きが男っぽい。昔からジブはうまいと思っていた」と渚さん。滑りの原点だ。

  転機は中学2年。岩渕麗楽(24)、男子で金の蘇翊鳴(中国)らを育てた佐藤コーチが、当時の深田が練習拠点としていた愛知クエストを訪れた。約2時間、佐藤のレッスンを受けただけで「こんなにうまくなるのか」と深田は驚いた。

その日を機に、佐藤の指導を受けるため、埼玉に通い始めた。愛知から、父が運転する車で約5時間。車中泊しながら通った。朝7時から夕方まで滑り、岩渕らにも刺激を受け、めきめき上達。15歳で初出場した22年W杯でいきなり優勝し、驚かせた。

 ミラノ五輪へ出発前に中部国際空港セントレアまで送迎してくれた母・美穂さん(52)と父・範生さん(57)に手紙を書いた。「生んでくれてありがとう。うれし涙を流せるように頑張ってきます」。手紙を受け取って号泣した母は、有言実行の金メダルにまた胸がいっぱいになった。

 佐藤コーチと出会って6年でつかんだ金メダル。「とんでもない練習量のたまもの」とたたえた。9日のBAでは9位に終わっただけに「次はどっちもいい結果を残せるようにたくさん練習」と深田。

スノーボード陣のメダルラッシュのラストを飾ったのは、ニューヒロインだった。(宮下 京香)

編集部おすすめ