高市早苗首相(64)は20日、国会で施政方針演説を行った。(5)

 DX・AI化の進展といった産業構造転換に対応した人材育成が求められています。

産業界、地域の高校・高専・大学など、そして地方自治体が協働し、産業イノベーション人材を育成する取組を進めます。そして、全ての子供・若者が、豊かな体験を得られるよう、支援を強化します。特に、孤独・孤立に陥りやすい若者について、大規模な実態調査を行った上で、社会とのつながりの構築を支援します。また、性や健康に関する正しい知識を身につけ、健康管理を行うプレコンセプションケアを推進します。

 日本人の底力を解き放つためには、子供・若者に加え、全世代の国民の皆様一人ひとりが活き活きと活躍できることが重要です。日本人の誰もが、日本国の主役でなければなりません。性別、障害や疾病の有無、生まれた年代や住んでいる地域、家族の状況などによって、不公平がない社会を目指しましょう。 育児、子供の不登校、介護が原因の離職を減らすため、ベビーシッターや家事支援サービスの利用促進に向けた負担軽減に取り組みます。企業の活力を活かした小学生の居場所づくりや、病児保育の充実も図ります。

 低所得子育て世帯やひとり親世帯、ヤングケアラーなど、家庭状況に応じた支援にも力を入れます。 加えて、「こども未来戦略」の「加速化プラン」に基づき、こども誰でも通園制度の本格実施や保育士の処遇改善などの取組を推進します。 また、就職氷河期世代に対する新たな支援プログラムを策定します。

 性差に由来した健康課題への対応を加速すべく、診療領域を横断した対応策の整理や診療拠点の整備を進め、特に女性の生涯にわたる健康支援を強化します。がん・難病のゲノム医療や「ワンヘルス」の取組も推進します。

 総合的な人口政策・外国人との秩序ある共生社会の実現 (総合的な人口政策)少子化・人口減少は、我が国の活力を蝕んでいく「静かな有事」です。少子化傾向を反転させるための対策を強化します。

 しかし、それが功を奏したとしても、当面は人口減少が続きます。人口減少に対応した社会経済を再構築する対策も必要です。

 この両面について、一貫した総合的な戦略を策定・実施します。「強い経済」の実現により、若い世代の所得を増加させていきます。そして、先に述べた子供・若者政策や子育て支援に加え、妊婦健診や出産に係る費用など、妊娠・出産に伴う経済的負担を軽減します。

 人口減少・少子高齢化においては、社会保障制度における給付と負担の在り方や所得再分配機能について、国民的議論が必要です。国民会議において、与野党の垣根を越え、有識者の叡智も集めて議論し、結論を得ていきます。

 また、データヘルスや保険者機能の強化、健康経営に取り組む地域企業への支援、がん検診・歯科健診の推進を通じ、「攻めの予防医療」を具体化させます。

健康寿命の延伸を図ることで、皆が元気に活躍し、社会保障制度を含めた社会の支え手となっていただけるようにします。

 そして社会経済の活力を維持するためには、生産性向上の効果を加味した上で、将来必要となる労働力人口の規模を考える必要があります。少子化傾向の反転、労働参加率向上、外国人の法令に則った厳正かつ適正な就業などを踏まえ、腰を据えて検討してまいります。

 一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、国民の皆様が不安や不公平を感じる状況が生じていることに配慮しなければなりません。ルールを守り、税や社会保険料を納めながら滞在・居住している大部分の外国人のためにも、問題ある行為に毅然と対応することで、我が国が排外主義に陥らないようにします。それが、「外国人との秩序ある共生社会」の実現です。

 「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を強力に推進します。特に、短期滞在者の来日に関して、電子渡航認証制度JESTAを創設する法案を提出します。これにより、我が国にとって好ましくない外国人の入国を防ぐとともに、問題ない来日客の入国手続の円滑化を図ります。

 また、外国人による土地取得などに関する規制の在り方の検討を進め、この夏までに骨格をとりまとめます。 あわせて、外国人に対する日本語教育の充実、日本の制度・ルールの理解促進に取り組みます。

 治安・安全の確保 その他の治安・安全の確保にも取り組みます。

 AIやドローンなどの新たな技術を悪用した犯罪行為やCBRNEテロの抑止・対処、そして消費者教育に取り組みます。「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に掲げられた取組を着実に実施し、いわゆるトクリュウの撲滅を目指します。特に、携帯通信の契約時の本人確認義務の範囲を拡大する法案や、架空名義口座を利用した新たな詐欺対策を可能とする法案を提出します。

 また、誤判からの速やかな救済と法的安定性のバランスを図りつつ、再審制度に関する具体的な規律を整備する法案を提出します。

 熊による人身被害が各地で発生し、日々の暮らしを脅かしています。昨年とりまとめた「クマ被害対策パッケージ」に基づき、春の時期を含めた捕獲により個体数管理の徹底を図るとともに、中長期の取組を含めた対策ロードマップを策定し、人と熊のすみ分けを図ります。 

 政治への更なる信頼回復に向け、政治資金の在り方や衆議院の選挙制度、議員定数削減に関する各党各会派の議論が進展することを期待します。 今年は、昭和元年から起算して満百年を迎えます。 日本は、古来、固有の文化を守り、和を尊び、家族や社会が互いに助け合いながら発展してきました。 そうした我が国の伝統や歴史の重みを噛みしめながら、国会において、皇室典範の改正に向け、安定的な皇位継承等の在り方に関する議論が深まることを期待しています。四月二十九日には、「昭和100年記念式典」を挙行いたします。激動の昭和を生き、先の大戦や幾多の災害を乗り越え、「希望」を紡ぎ出した先人に学び、我々も果敢に挑戦していこうではありませんか。

 どのような国を創り上げたいのか、その理想の姿を物語るものが憲法です。憲法改正に関し、衆議院及び参議院に設置された憲法審査会において、党派を超えた建設的な議論が加速するとともに、最終的に判断を行う国民の皆様の間でもこれまで以上に積極的な議論が深まり、国会における発議が早期に実現されることを期待します。

 挑戦しない国に未来はありません。

 守るだけの政治に「希望」は生まれません。

 今年初めて投票して下さった十八歳の若者も、生まれたばかりの赤ちゃんも、その多くが、二十二世紀を迎えることができるでしょう。

 その時に、日本が安全で豊かであるように。

 「インド太平洋の輝く灯台」として、自由と民主主義の国として、世界から頼りにされる日本であるように。

 若者たちが、日本に生まれたことに誇りを感じ、「未来は明るい」と自信を持って言える。そうした国を創り上げていく。今の時代を生きる私達には、その大きな責任があります。

 皆様、未来への挑戦を共に進めてまいりましょう。「希望」を生み出す政治を、共に進めていこうではありませんか。

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