元宝塚歌劇の花組トップスター、真飛聖(まとぶ・せい)は4月に東京・新国立劇場小劇場でデニス・ケニー作の一人芝居「ガールズ&ボーイズ」(稲葉賀恵演出、9~26日)に出演する。過激に聞こえるセリフもある。

順調なはずの人生が思わぬ形で崩れていく過程から、現代社会に潜むゆがみを浮き彫りにしていく内容だ。

 「大変な作品です。でも直感で『やりたい』『これやろう』と思いました。こんな感覚になるのは、宝塚音楽学校受験以来。あのときも『入りたい』ではなく『入る』という思いしかなくて」。大きな転機を独特の感性で察知できる人なのかもしれない。

 2011年退団から15年目に入った。卒業して数年後に出演した時代劇映画「柘榴坂の仇討」(14年、若松節朗監督)で演じたマサという寡婦の演技が忘れられない。抑制されたたたずまい。この人はこういう役もできる人なのか、という驚き。この疑問は、次の言葉を聞くと、少し理解できる。

 「今の事務所に入るとき、しばらく舞台には立ちたくないと正直に伝えたんです。

なぜなら、体力も神経も魂を削るほど舞台に向き合っていたので。無謀と思われても一度、自分が全く知らない、テレビや映画などの映像の世界に単身で飛び込んでみようと」

 フジ系昼のバラエティー番組「ぽかぽか」(金曜レギュラー)で顔を覚えた人もいるだろう。放送中の日テレ系ドラマ「身代金は誘拐です」(木曜・後11時59分)では刑事役を。どの仕事もどこか躍動感を感じさせる。ここにも理由がある。「私には目標があって。『あの人、宝塚出身なの? え? 男役だったの?』と思われることなんです」。おもしろい人だ。真飛の演技の源泉が少し分かる。4月に挑戦する初めての一人芝居が、一層楽しみになってきた。(内野 小百美)

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