◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 AI時代でも新聞記者は生き残れるのか。ある日、2種類の主要なAIに尋ねたところ、答えは同じで「生き残る。

ただし、その役割は大きく変わる」だった。

 AIの急速な進化は記者の仕事を「奪う」というより、何が「人間にしかできない仕事か」を明確にしたと思う。AIは膨大な情報を整理・要約するのは長(た)けている。だが、現場で取材対象者に質問し、相手の表情や沈黙から違和感を察知し、本音を引き出すことまではできない。年明けに突然始まった選挙取材でも、候補者や陣営関係者の目を直接見て、さまざまな「感触」を確かめた。体調不良が伝えられていたある政界関係者は選挙の熱に刺激されたのか、すっかり元気だった。そうした「事実」は、AIからは決して得られないものだったと思う。人との信頼関係を築き、現場の空気を共有する行為の価値は、むしろ高まっているのではないか。

 「1次情報」の重要性も増している。AIが扱うのは既知のデータに過ぎない。現場の熱量、声のトーン、未公表の数字、誰も気づいていない違和感は人間にしか持ち帰れない。AIが生み出すのが「2次加工された情報」であるならば、原材料となる情報を集める役割は、今後も記者に強く期待される。

 一方、定型ニュースや速報、文字起こしからの単純な要約はAIに置き換わりつつある。今、問われているのは「その記者でなければ得られない情報」を持っているかどうかだ。AIを道具として使いこなし、本質的な取材と判断に集中できる記者は、これからも求められ続けると思いたい。(社会担当・久保 阿礼)

 ◆久保 阿礼(くぼ・あれい) 2003年入社。運動2部を経て、07年から文化社会部。

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