一般社団法人日本火災報知機工業会が実施した「住宅用火災警報器に関する実態調査」で、住宅用火災警報器(住警器)に対する正しい知識や日常の点検・交換行動が十分に浸透していない実態が浮き彫りになった。住宅用火災警報器は住宅火災の早期発見に不可欠な防災設備だが、設置義務が普及している一方で、設置後の維持管理に関する意識には大きなギャップが残ることが確認された。
調査対象は、2006年~2014年の8年間に建てられた新築戸建住宅に住む住警器設置者880人(5016台)で、2025年6月20日~7月14日に郵送による書面調査を実施した。住警器自体の設置義務については回答者の65.0%が認知していたものの、 「設置後10年を目安に交換する」という推奨を知らなかった人は71.1%に上るなど、設置後の正しい対応に関する認識は十分とは言えない実態が明らかになった。
実際、10年を経過した住警器の交換を「早めに行おう」と回答した人は18.3%にとどまり、 「そのうち交換する/交換しない」と回答した人は81.5%に達した 。その理由として最も多かったのは「まだ正常に動いていると思うから」で69.5%に上り、正常に動作しているという自己判断が実際の点検や交換行動を抑制している可能性が示された。
点検に関しても問題が浮かび上がっている。住警器の基本的な点検方法(ボタンを押す、または紐を引く)について「知らない」と答えた人は66.9%にのぼり、知識として理解している人はわずか32.6%にとどまった。さらに、点検方法を知っていたとしても、 年に1回以上、定期的に点検している人は18.1%と2割未満という結果になっており、実際に機器が正常に機能するかどうかを確認する行動が日常的に定着していない実態が見えている。
加えて、住警器は火災時だけでなく、電池切れや故障などの異常でも警報音を鳴らす仕様になっているが、「火災以外でも警報音が鳴ることを知らない」と答えた人が72.6% に達したことで、警報音が鳴った際に適切な対応に結びつかないリスクも指摘されている。
住警器は2006年の設置義務化から約20年が経過し、多くの家庭で経年劣化や電池切れにより性能低下のリスクが高まっている。消防庁も「設置後10年程度での交換」を推奨しているが、その認識は一般家庭に十分浸透していない状況だ。今回の調査結果は、住宅用火災警報器の設置だけでなく、定期的な点検と適切な交換行動が十分に行われていない現状を如実に示している。正常作動を前提とした防災対策のためには、点検方法や交換時期に関する正確な情報の周知と継続的な啓発が一層重要だ。

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