2024年に55年間レギュラー出演した日本テレビ系「笑点」から勇退した落語家・林家木久扇(88)が27日にエッセー「88歳!元気な秘訣、教えます 人生は夕方からが美しい」(PHP出版)を発売する。このほどスポーツ報知の取材に応じ「100歳まで高座に上がる!毎月100万円稼ぐ!」と宣言した。

 米寿を迎えても元気だ。2度のがん闘病でも飲酒はやめられなかったが「孫の花嫁姿が見たい」と一念発起し、5年前に3か月かけて禁酒。昨年末の健康診断はオールクリアした。

 「深酒をしなくなったので、調子がいいですよ。88歳になって気付いたのは、時間が早く過ぎるんですよ。寄席に出演したり、人に会ったり、本読んだり…。今は(小説家の)今村翔吾さんの『イクサガミ』シリーズを読んでいます。盛り上げ方がうまい作家さんで、目が離せませんね」と充実した表情を浮かべた。

 健康的な暮らしぶりだ。毎朝ラジオ体操でスタート。高校時代から続けている剣道の素振りは40本、加圧ベルトを太ももにはめた状態でもも上げや室内を歩き回ることも。学生時代に鑑賞した西部劇の役者のきれいな歯に憧れ、毎日5本の歯ブラシを使い分けている。

だらけてしまう日は「ないですね。毎日のことですから」と即答した。

 健康のおかげで本業も絶好調だ。今年は浅草演芸ホールの令和8年初席第1部で主任(トリ)興行で幕開け。3月中席の末廣亭、同下席の浅草演芸ホールが控える。今の目標は100歳でも高座に上がり、毎月100万円の稼ぎをすること。

 「今も売れてますが、100歳のおじいさんが面白いことを言っていると、もっと売れるわけですよ。そんな人は他にいないし、老人会に呼ぼうってなると思いますよ。長生きはもうかります」と笑った。

 みなぎるエネルギーの源は、幼少期の経験からだ。1945年3月10日、東京大空襲によって東京・日本橋の実家が全焼。その後、両親が離婚し、母親と暮らした。

「母はすごく貧乏でしたが、子どもを育ててくれた。僕にとって貧乏は敵。僕は結婚して、いまのうちの奥さんにもそんな目にあわせちゃいけないと頑張っています」と背筋を伸ばした。

 「笑点」で長年共演した桂歌丸さん(18年死去、享年81)は、晩年に酸素吸入器をつけながら、6代目三遊亭円楽さん(22年死去、享年72)は車いす姿で高座に上がった。世間一般的に米寿を迎えても仕事を続けている木久扇のような人は少数派だろう。なぜ落語家は身を削ってでも生涯現役を貫こうとするのか。

 「人に向かってしゃべり、笑わせる快感みたいなものがあります。ずっとしゃべりたいなって。だから落語家は病気で亡くなられた人はいますけど、自分から引退した人はほぼいないんですよね。寄席では200~4000人の前で、先日の落語会では2000人の前でしゃべったんですけど、そういうことがこの年齢でできる職業って他にないですよね。だから孤独を感じたことはないです。僕は今、88歳を迎えられて、高座にも上がり続けられて、幸せに感じています」。

誰も見たことがない100歳の落語家にむけ、米寿の今も研さんを積む。(水野 佑紀)

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