巨人の阿部慎之助監督(46)が26日、那覇キャンプで戸郷翔征投手(25)のブルペン投球に熱視線を送った。出力アップのため、リリースポイントを下げるフォーム修正に取り組む右腕の力強い球を見届け「宮崎の時よりも出力が全然出ている」と前進を強調。

危機感を胸に28日の韓国サムスンとの練習試合(那覇)で今季初実戦に臨む右腕と、温かい目で見守る指揮官の思いを巨人担当キャップの片岡優帆記者が見た―。

 力強い球がブルペン捕手のミットに収まるたびにうなずいた。阿部監督は30球を投げた戸郷をじっくりチェック。静観する様子は、覚悟を胸に試行錯誤を繰り返す右腕の心情をおもんぱかっているように見えた。「宮崎の時よりも出力が全然出ている。もうキャンプも終わるけど焦らずやってほしい」とのコメントからも親心が伝わってきた。

 昨年の戸郷は2年連続で開幕投手を務めるも8勝9敗、防御率4・14と苦戦した。復活を期す中で、今キャンプ初の実戦形式となった14日のライブBP登板は打者10人に対し2安打3四球。「何かを変えないと。このままやってもいい未来は見えない」と思い切ったフォーム修正を決断した。

 年々、無意識のうちにリリースポイントが少しずつ高くなり、それによって出力が落ちていたと分析。本来の直球の球威を取り戻すため、キャンプ中盤からリリースポイントを下げる取り組みを開始した。

阿部監督は「何かいいきっかけをつかんでくれたら」と21日のブルペンでは身ぶり手ぶりを交えながら助言。極端に横から投げる意識で投じることを勧めるなど、親身になって寄り添い背中を押していた。

 連日ネットスローや遠投で理想のリリースポイントを模索する戸郷。投手陣が実戦で22イニング連続無失点に抑えるなど好調な中で黙々と己と向き合う。28日の韓国サムスン戦で1軍投手“大トリ”で初実戦を予定。「すごく危機感を感じながらやっています。次の登板があるとは思っていない」と決意を胸に秘める。

 阿部監督は、そんな熱い思いを察したからこそ、ハッパも重圧もかけず温かい目を向ける。「本人なりにいろいろ工夫してやっている。試合では今までやってきたこと、改良を重ねてきていることがどれぐらいできるか。結果ではなくてそこは見てあげようと思います」と内容を重視すると強調した。

 2年ぶりリーグ優勝、14年ぶり日本一へ戸郷の力は不可欠。

以前も「やってもらわないと困る投手」と期待を示していた。危機感たっぷりに一歩ずつ前進する戸郷と、静かに見守る阿部監督。開幕までまだ時間はある。(片岡 優帆)

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