5人組ヒップホップグループ「RIP SLYME」が、昨春から1年間限定で活動している。2018年に一度活動を休止したが、グループ活動にきちんと区切りを付けるため5人が再集結。

3月22日に迎えるデビュー25周年をもって再び活動を休止する。活動を再開させるまでの経緯やこの1年の振り返りなどをILMARI(50)とSU(52)が語った。(松下 大樹)

 昨春にスタートした1年間限定の再結成。歌番組やフェスに数多く出演し、全国ツアーも開催した。デビュー25周年記念日となる3月22日での活動休止を直前に控え、2人の表情は晴れやかだった。

 SU(以下S)「もう、充実ですね。日々いろんなことが起きたり、曲を作ったり…。またみんなと戻れたこととか、喜びに満ちあふれた1年間でした」

 ILMARI(以下I)「たくさんフェスにも出させていただいて、ツアーも回れて僕たちの気持ちを伝えられたなと思える1年だった。こんなにたくさんの方が(ライブ等に)来てくれるとは想像できてなかったですし、喜んでくれる人たちがいて『1年やって良かったな』って」

 1994年に結成し、2001年にメジャーデビューすると、「One」「楽園ベイベー」などヒットを連発。日本のヒップホップ界の第一線を走り続けたが、17年、SUがプライベートの問題で活動を休止すると、翌18年にはグループ活動も休止。21年にはPES(49)も脱退した。

 I「活動を休止しようと話をしたわけでもなく、そうなってしまった。

変な終わり方だった」

 さまざまなすれ違いや違和感が引き金となり、誰も望んでいない形に。22年からILMARI、RYO―Z(51)、DJ FUMIYA(46)の3人体制で活動を再開したが、5人の心の中では「RIP SLYMEとしての活動にきちんと『。』(句点)をつけるべきだ」と感じていたという。

 I「見てくれているファンの人たちにもですし、関わっていたスタッフの人たちにもちゃんと感謝を伝えたかった」

 再集結に向けてはILMARIが率先してSU、PESと話し合いを重ねた。個人の仕事との調整も必要でハードルは高かったが、1年限定での活動再開にこぎ着けることができた。

 復帰ステージは昨年5月に千葉・蘇我スポーツ公園で行われた野外フェス「JAPAN JAM」。SUは緊張で数日前から寝られず、ヘルペスができたり痛風を発症するなど「満身創痍(そうい)」と振り返る。

 それでも、ステージからファンの声を聞くと一瞬にして喜びに変わった。

 S「『おかえりなさい』って言われて『ただいま』って…。うれしかったですね」

 I「もちろん、盛り上がってくれたことはうれしいんですけど、涙してくれるファンの人たちもいた。待っててくれた人たちがいたんだなと間近で感じて、5人で集まったことに意味があったなと思いました」

 FUMIYAが流すサウンドに、4人がラップを吹き込む。長いブランクがあっても、ひとたびライブやレコーディングに入ると5人の波長はピタッとはまった。

 I「意識しているわけじゃないですけど、それぞれに役割があって、自然と長い付き合いの中で適材適所でやってきたんだなと。そういう意味でもメジャーデビューから25年やってきたんだなというのは感じました」

 一方でSUは新たな発見もあったという。

 S「8年離れている間に新しく知り合ったお友達とかはすごく“社会人”。ずっとここ(RIP SLYME)で育ってきたんで、ここが当たり前だったけど、このグループの人間は飛び抜けて“変態”だなと」

 I「勝手知ったる我が家感みたいな、ラフにいられる仲間。素でいられる間柄なので、居心地が良いってところはあると思います」

 S「そういうことが言いたかった(笑)」

 I「それを“変態”で片付けるなんて…(笑)」

 10代の頃から知る仲だからこそ、冗談を言い合ったりふざけ合ったりできる空気感は今も同じ。SUのメンバーに対する絶大な信頼が、「変態」という言葉に込められた。

 そんなSUにはこの1年で大きな変化があった。6日に公開されるドキュメンタリー映画「RIP SLYME THE MOVIE ―25th ANNIVERSARY GREATEST MEMORY―」(金井紘監督)の撮影も兼ねて今年の年始に箱根に旅行したとき、5人だけの食事中に感極まる姿があったという。

 I「SUさんが泣いてるところをそんなに見たことがなかったんですけど、急に号泣したんですよ。『もうこんなことないかもしれないよ~』みたいな感じで周りがびっくりするくらい泣いてて」

 S「(泣く)要素がいっぱいあるじゃないですか。久しぶりの5人で、プライベートで、酒も入って…」

 期間限定の活動も残りわずか。自分たちが納得して決めた活動休止を前に素直な心境を口にした。

 I「ツアーもフェスも一つひとつちゃんと無事にできて良かったなと思う反面、再集結に至るまでに頑張っていただいた周りの人たちがたくさんいる。終わったら急に連絡とか取らなくなるのかなと思うと、ちょっと寂しいなと。燃え尽き症候群になっちゃうかなとか感じたりもしていて、怖いです」

 S「冷蔵庫に貼ってあるカレンダーの3月22日に『最後の日』って書いてある。それがだんだん近づいてきてるけど、その日にならないと…。『寂しいな』『もったいないな』っていういうのは(心から)出たり入ったりしてますね」

 I「出たり入ったり?(笑)」

 20~22日にはTOYOTA ARENA TOKYOでラストライブを行う。その後の予定はそれぞれ全く未定だといい、今は25年間の全てを出し切ることしか考えていない。

 I「RIP SLYMEの集大成をお見せできればなと思うので、みんなが楽しんでもらえるライブにできたら良いなと思います」

 S「今のベストを尽くします。できること、全てを」

 5人で最後の「。」を付け、心置きなく新しいステップへ向かう。

 ◆RIP SLYME(リップ・スライム)1993年、RYO―ZとILMARIが所属していたユニット「ギビニバンコ」を母体に翌94年にPESが加入して結成。97年にFUMIYA、98年にSUが加入。2001年、「STEPPER’S DELIGHT」でメジャーデビュー。18年、活動を休止。

25年、1年間限定で活動再開。ヒット曲に「One」「FUNKASTIC」「楽園ベイベー」など。

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