◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 これほど五輪愛に満ちた人はいないだろう。ミラノ五輪のリビーニョ会場最終日。

フリースタイルスキー・クロスで4位に入った古野慧(26)=U―NEXT HD=の決勝後、すぐそばにスノーボード・パラレル大回転で冬季五輪の日本女子最多7大会連続出場を果たした竹内智香(42)=広島ガス=の姿があった。2月8日に27年の競技人生ラストレースを飾り、引退。疲れも残す中で最後まで日本の仲間を応援していた。

 五輪17日間の取材では、4年間全てを懸けてきたものの力を出せず、「五輪の魔物」「五輪は残酷」と漏らした若手選手がいた。百戦錬磨の竹内も18年平昌五輪後、約2年の休養で地元の北海道・東川町に帰った。腰痛など苦しい時期もあり、五輪挑戦の過酷さを誰よりも知る人だろう。

 競技前日の取材で「改めて五輪が大好き。この空間、時間を楽しみたい」と熱い思いを語った。日本と拠点のスイスから応援団が訪れ「智香」コールの中で敗退したが「幸せ」と挑戦を楽しみ切った。競技後も選手や関係者間で流行したピンバッジ交換に参加。私にも「持ってる?」と無邪気に聞き、兄・崇さん(45)が「1回でも五輪を身内で共有できることはすごい。7回もやってくれた」とたたえた偉業は、どの瞬間も楽しんできたからこそだ。

 スノボ界のレジェンドが、18歳から出場した大好きな五輪に別れを告げる。「また日本に五輪が来るような活動もしたい」と新たな夢を掲げた。極寒の中で、42歳のみなぎるパワーに勇気づけられた大会だった。(五輪担当・宮下 京香)

 ◆宮下 京香(みやした・けいか) 2018年入社。23年から五輪競技を担当。

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