大相撲の大関・安青錦(21)=安治川=と柔道男子60キロ級で1996年アトランタ大会から五輪を3連覇した野村忠宏氏(51)の初対談が実現した。安青錦は春場所(8日初日・エディオンアリーナ大阪)で横綱昇進と3場所連続優勝に挑む。

柔道史上唯一の五輪3連覇を成し遂げたレジェンドと重圧への向き合い方や相手の研究に対する考えなどを語り合い、初の綱取りへの決意を新たにした。対談の模様を3回に分けてお伝えする。(取材・構成=林 直史、大西 健太)

 安青錦(以下安)「お久しぶりです」

 野村氏(以下野)「昨年2月に私が東京で接骨院を開いた記念のパーティーに、安治川親方と一緒に来てくれて。その時が初めてでしたね」

 安「野村さんと写真を撮りたいと思ってついていきました。子供の時に柔道をやっていて、野村さんのことを知っていたのでファン目線で見てました」

 野「最後の五輪が04年のアテネだから、大関は生まれたばかりかな」

 安「1歳にもなっていないです(笑)。大事なところで勝つって、すごく難しいと思います。本場所は2か月に1回ですけど、五輪は4年に1回しかない。自分が味わったことがないようなプレッシャーや緊張感があると思うので、それを勝ち切るのはすごいなと」

 野「五輪は4年に1回。柔道は1日にピーキング、最高のコンディションを合わせていくけど、相撲は15日間でコンタントに結果を出さないといけない。集中力とか体の調子の維持は大変だなと思いますよね」

 野村さんは96年アトランタ五輪で初めて金メダルに輝き、安青錦は昨年九州場所で幕内初優勝。ともに21歳の時だった。

 野「初めての五輪は若くて、挑戦という気持ちが強かった。

本当の意味でのプレッシャーは1回金メダルを取ってから。2回目を目指すとなったら、金メダリストとしてのチャレンジだから。注目も期待も大きくてプレッシャーはすごく感じたけど、自分の柔道に対する自信もあった。どういう選択をして、どういう決断をしたら、もう一回チャンピオンになれるのかを考え抜いた4年間でしたね」

 安「自分は初優勝の時はうれしい気持ちが強くて。でも、2回目はうれしいのは勝った瞬間の5秒だけ。番付が上がって、成績を出した後は気持ちも全然違いましたし、これからも、勝ってもそこまでうれしくないかもしれない」

 野「ホッとするのもあると思うし、優勝することで次は綱取りだとか、周りが大関を見る目が変わってくる。いろんなものが変化するというのはありますよね」=(中)へつづく=

 ◆安青錦 新大(あおにしき・あらた)本名ヤブグシシン・ダニーロ。2004年3月23日、ウクライナ・ビンニツャ生まれ。21歳。7歳で相撲を始める。23年秋場所で初土俵。25年春場所で新入幕。

新大関の26年初場所で2場所連続優勝。三賞6度。しこ名は師匠から安と錦をもらい、ウクライナの国旗と目の色から青をつけたのが由来。182センチ、141キロ。得意は右四つ、寄り。

 ◆野村 忠宏(のむら・ただひろ)1974年12月10日、奈良・北葛城郡広陵町生まれ。51歳。5歳で柔道を始め、天理大、奈良教大大学院、弘前大大学院を経てミキハウス入り。男子60キロ級で96年アトランタ、00年シドニー、04年アテネと五輪3連覇。97年世界選手権優勝。15年8月に現役を引退し、ミキハウススポーツクラブGMなどを務める。得意技は背負い投げ。

164センチ。

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