米国、メキシコ、カナダの北中米3か国共催による史上最大規模のサッカーW杯開幕(現地時間6月11日)まで3日で、あと100日となった。スポーツ報知では、初の優勝を目標に掲げる日本代表の森保一監督(57)、2009年WBCで侍ジャパンを世界一に導いた原辰徳さん(67、巨人軍前監督、オーナー付特別顧問)の特別対談が実現。
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2人の名将による対談は、日本代表が合宿で使用するJFA夢フィールド(千葉)のロッカールームで行われた。森保監督が原さんを出迎えると、お互い満面に笑みを浮かべ、再会を喜んだ。2人は4年以上前、食事の席で偶然出会ったという。「それから森保さんの運気もグッと開いてきたんだな」と両手を大きく広げるポーズを見せた原さん。小学5年まで野球少年で、巨人ファンの森保監督にとって、巨人軍の4番、監督を長年にわたり務めた原さんは憧れの存在だ。カタールW杯予選の序盤、苦しんでいた時期から、食事の席に招いてもらうなどし、親交が始まった両氏。世界一をテーマに熱い対談が始まった。
【世界一への思い】
原さん(以下原)「前回のW杯予選が、いきなり徳俵に足が掛かった感じの戦いで。粘って、粘って出場を決めて。それでベスト16まで行って素晴らしい戦いでした」
森保監督(以下森)「(22年)W杯が終わって原監督からメッセージをいただきました。『いい戦いをしたから、胸張って帰ってきてください』と。
前回大会は決勝トーナメント(T)1回戦、クロアチア相手にPK負け。指揮官の脳裏には前回の悔しい記憶が強く刻まれている。
森「自分たちのやれることは全てぶつけて、最後の最後で勝てたかもしれないというのがあった。選手の悔しがる表情から力の差があっての敗退ではなく、もっとやれたのにと。監督としてもう一つ連れて行ってあげたかった」
原「その後に、森保さんがまた代表監督にお願いされたというのが大きいことですよ。前回大会がすごく糧となって、今回のW杯は立ち位置が全然違う。昨年10月の親善試合でブラジルに(3―2で)勝って、世界の門をたたいたという感じでしょうね。世界も『おいおい、日本』という感じでしょ」
今大会、森保ジャパンは前人未到の8強を大きく超える「優勝」の目標を掲げる。原さんの目にはどう映っているのか。
原「監督として、冷静に思われていることだと思います。この4年間、しっかりとチームをつくり、育て、理想とするものができたから公言できる。決して大風呂敷を広げるのではなく、監督というのは(そう語る)根拠はあります」
森「気持ちを全部読み取られている感じです。
原「やっぱり風景を描かないとね、それには近づけない」
【選手層の厚さと進化】
原「今年の日本代表は少なくとも2、3チーム分くらいは代表チーム(の先発)が選べるような力のあるタレントさんが増えましたね。4年前と比べ、攻撃、守備はどう変わりましたか? 僕は両方良くなったと思っています」
森「おっしゃる通りです。攻撃陣は前回はわりと若手中心で、経験値が上がり、さらに相手の嫌がる、圧力のある攻撃を仕掛けられるようになりました。ブラジル戦でも見せてくれたように、前線からの守備は日本の良さ。守備ラインに関しては前回はベテランが支えてくれていて、世代交代をしています。原さんが言ってくださるように1チーム分だけでなく、2チーム、3チーム分くらいW杯の舞台で戦える選手たちが経験を積み、力を見せてくれています。けが人は多いですが、チームの厚みという意味では、DFは2期目で経験を積み、戦力に厚みをもたらしてくれています」
原「ブラジル戦で先に2点取られて後半に3点取った。これもすごいこと」
森「過去の日本であれば、ブラジルは格上のチームで、もちろんリスペクトはすべきですが、同じ目線で戦えるという意味では、試合をひっくり返すことのできる選手のメンタリティーが、すごく頼もしいと思います」
原「(前十字じん帯断裂の)南野(拓実)君(のけが)が心配だね。
森保ジャパンの中で最多得点(26点)。核の選手を欠いた戦いを覚悟しなければならない。
森「彼のけがはチームにとっても痛いですが、アクシデントは必ず起こるもの。俺がやってやる、という選手が控えてくれているので、次に出てくる選手に期待してますし、一丸で勝っていくというチームづくりをしています。そのために第1期、2期でも、できるだけ選手層の幅を広げ、厚みを持たせて最後、最強最高のチームをつくっていこうと戦ってきました。総合力で乗り切りたい」
【チームマネジメント】
原監督は09年WBCでスピードと犠牲心(チームプレー)をテーマに掲げ「スモールベースボール」の戦術で世界一に導いた。
原「世界を取るにはどういうものがこのチームに必要なのか、どういうことが誇れるかを考えた。パワーでは米国、キューバにはかなわないから。スモールベースボール、これは絶対に世界を取れるはずだとね」
イチロー外野手を中心に据えたチームという信念を貫きながらも、先発だったダルビッシュ有投手を抑えに回すなど柔軟にタクトを振るった。監督としての信念と柔軟性のバランスはどのように考えていたのか。
原「そういう臨機応援なところも必要にはなるけど、最初の根本的なものというのは迷ったり、比べたりするとダメな気がする。限られたメンバーで短期間でやる試合だから。
W杯に向け、選手選考は非常に悩む部分か。どのような軸を持って選びたいか。
森「これまで選手たちをたくさん見てきたので、その時のベストな選手を。基本的にはコンディションのいい選手を選ぶこと。けが人が何人かいるので、過去の実績からして、W杯の大会期間中にコンディションが戻ってくれば、世界トップレベルの力があると判断できる選手は招集したいと思います」
4大会連続でW杯出場の39歳・長友佑都選手のような経験を持っているベテランの重要性を指揮官はどのように考えているのか。
森「まずプレーヤーとして勝負の肝になるところが分かっています。ピッチ上で経験を発揮してくれるということ。世界の経験が豊富なベテランがいることで試合までの雰囲気づくり、大会期間中にチーム全体が重圧の中で生活することになるので、経験の浅い選手たちに心の持ち方を伝えてくれたりという意味ですごく重要になる。ただ、ベテラン、若手ではなく、それを含めて全て勝つために、その時の最高の日本代表の力を発揮するためにメンバーを選びたいと思います」
原「長友君っていうのはメンタルの強さというか、力、技術だけではないチーム全体を上げていくような、そういうムードメーカー的なね。そういうのも1つ入れたいなっていうところもあるよね」
森「はい。常にポジティブに挑んでいく姿勢を示してくれています」
原「長友君が入るかどかというのは非常に難しいところだよね。
森「(それは)あると思います。でも、本人はすごく力を見せてくれています」
(後編につづく)
◆カタールW杯最終予選VTR 6チームで争う最終予選は、21年9月から22年3月まで行われた。上位2チームが自動的にW杯出場権を獲得する中、B組の日本は3戦目の敵地・サウジアラビア戦で敗れて、早くも2敗目(1勝)を喫し3位と窮地に立たされた。だが、直後のホーム・オーストラリア戦を2―1で制すると、ここから連勝街道。第9戦の22年3月24日、敵地・オーストラリア戦で途中出場のMF三笘薫が終了間際に代表初得点を含む2得点と活躍し、2―0で6連勝。最終的に、7勝1分け2敗の2位で7大会連続のW杯出場を決めた。
◆2009年WBCのVTR 第1ラウンドは2勝1敗で突破。第2ラウンドから舞台を米国に移すと、初戦のキューバ戦は先発の松坂大輔が好投を見せて勝利。続く韓国には敗れたが、敗者復活ラウンドでは岩隈久志がキューバ打線を抑え、4強入りを決めた。1組1位で進んだ準決勝では米国を9―4で撃破。決勝はこの大会5度目の日韓戦になると、延長10回にこの大会で不振だったイチローが値千金の2点適時打を記録。最後はダルビッシュ有が空振り三振で締め、連覇を果たした。
◆森保 一(もりやす・はじめ)1968年8月23日生まれ、長崎市出身。57歳。長崎日大高から87年にマツダ(現・広島)入団。92年に日本代表初選出。国際Aマッチ35試合1得点。93年に「ドーハの悲劇」を経験。京都、広島、仙台を経て2003年限りで引退。J1通算293試合15得点。05年からU―20日本代表コーチ。12年に広島監督に就任し、J1優勝3度。17年10月から東京五輪代表監督。18年7月からA代表との兼任監督。21年東京五輪4位。22年カタールW杯16強。26年W杯まで続投。
◆原 辰徳(はら・たつのり)1958年7月22日、福岡・大牟田市生まれ。67歳。東海大相模、東海大を経て、80年ドラフト1位で巨人入団。81年に新人王、83年は103打点で打点王とMVP。95年に現役引退。通算1697試合、1675安打、382本塁打、1093打点、打率2割7分9厘。02、03年、06~15年、19~23年に巨人監督を務め、球団史上最多1291勝。09年の第2回WBCで日本代表監督を務めて世界一。18年に野球殿堂入り。右投右打。

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