米国、メキシコ、カナダの北中米3か国共催による史上最大規模のサッカーW杯開幕(現地時間6月11日)まで3日で、あと100日となった。スポーツ報知では、初の優勝を目標に掲げる日本代表の森保一監督(57)、2009年WBCで侍ジャパンを世界一に導いた原辰徳さん(67、巨人軍前監督、オーナー付特別顧問)の特別対談が実現。
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【日の丸の重みと誇り】
森「W杯は各大陸予選を勝ち抜いた世界トップクラスのモンスター級の選手たちが出場してきます。まずは世界基準のフィジカル、1対1で勝っていける、対等に戦っていくというところ。その上で日本の良さであるチームワークで、一丸となって相手を上回る。見てくださっている方が日本代表を見て、大和魂を感じ、日本の誇りを持ってもらえるような戦いをしたいと考えています」
日の丸を背負う重さは、どのように捉えているのか。
原「もちろん、その重さというのもある。見えないような、言葉にできないようなもの。しかし、我々は選ばれたんだ、ということをまず頭のど真ん中において、どこかに鈍感力も必要だね。あまりにもピリピリすることはプラスではない。どこかに、切り捨てられる気持ちの余裕も大事なように思います」
森「重圧はそれほど感じていません。自分も勝ちたい、勝たせたいと思っているし、いろいろな方の期待も分かっています。まさに原監督がおっしゃられた通りで、自分ができる以上のことを考えても(仕方ない)。
代表戦の時は「不安より期待の方が強い」と森保監督は言う。試合前の国歌斉唱で涙を流す姿も印象的だ。
森「涙に関しては、重圧とよく言われるのですが、喜びと誇りがあふれてくるんです」
原「あれは不思議。日の丸が掲揚され、君が代が流れ『あ~、日本人に生まれて良かった』と」
森「もうまさに! 鳥肌が立ちました」
原「勝つとか負けるとか、プレッシャーとか、そんなんじゃない。目から涙ではなく、自分の魂や体の中から涙が出る感じ。(試合前の緊張感ある場で)日の丸を見られるというのは、これはすごいことですね」
森「喜びと誇りがあふれ出る瞬間で、いろんな方と共有したい。国歌を歌っている瞬間、歴史がこう降りてくるみたいな(感覚)。先人の方の頑張りがあり、今がある。感謝の気持ちが、あふれてくる瞬間。一つのことに日本人の心を通わせて、挑んでいく雰囲気をつくってもらえている。
原「やっぱり、代表は憧れ、誇りだね」
【原さんからのエール】
原「前回のW杯でも森保ジャパンは世界を驚かせ、今回、いい時を重ねて素晴らしいチームをつくられた。世界一、W杯優勝を狙おうという言葉を言えるのは、この4年間、森保サッカーが浸透したのかなと。ブラジル戦のような戦いを見ると、本当に世界でやれるぜと。悪いこと、嫌なことを考えるのは、戦う前に負けている証拠。それは、起きた時に考えればいい。野球でも場所によってグランドが硬いとかあるし、相手によって応援のやり方も違う。でも、ホームプレートの長さが違ったりはしないから、神経質にならず、『相手のところで戦っている』という雰囲気は絶対に持たせない。全てを地の利と考えて戦おうじゃないかと。大いに期待しています。世界に羽ばたいてもらいたいですね。頑張ってください」
森「ありがとうございます。まずは選手がストレスを感じず、何が起きても当たり前と思って戦える環境作りをしていきたいと思います。
【取材後記】
約1時間の対談で、森保監督は真剣なまなざしと笑顔を交えて、憧れの人・原さんの話に聞き入った。「WBCでは世界一も取って、日本では一番注目を浴びるプロ野球、巨人軍で選手、監督として生きてこられた。勝つことが宿命とされてきた方ですから」。競技は違えど、勝負師として共感することばかりで、勝利への道筋を貪欲に吸収しようとする姿が印象的だった。
年明けに行われた対談直後、主将のMF遠藤航が左足を痛めるなど、日本代表には負傷者が相次いでいるが指揮官から動揺は感じない。昨年3月にW杯出場を決めてから、新戦力を積極的に試すなど、チームの底上げに手応えがあるからだろう。原さんの言う「(その時の)ベストな用兵」は、森保監督のチーム作りそのものだ。「休みは寝られればいい。リカバリーの時間があれば」と笑う森保監督。
【取材後記】
日本を代表して指揮を執る時、不安と期待、どちらの気持ちが大きいか。その問いに、原さんは答えた。
「悪いこととか、嫌なことってのは、それが起きた時に考えりゃいいんだ。(それを考えるのは)戦う前に負けてる証拠だよ」
リスクヘッジをおろそかにしている、というわけではない。打つ手が外れるわけがない―。そう言えるほどに自分を、そして託す選手を信じているのだ、と。「選手たちに『いやぁ、すごい。俺も現役時代、こんなプレーはできなかった』って言えるのは、すごいチームってこと」。その言葉に森保監督も首肯し「『すごいな、この人たち』って、試合を楽しませてもらっています」と同調した。
巨人の監督時代も、若手選手によく説いた。「陽の選手であれ」と。

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