◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 ミラノ五輪フィギュアスケートペアで日本初の金メダルに輝いた三浦璃来、木原龍一組。長年サポートしてきた木下グループ・木下直哉代表も多額の報奨金で注目を集めた。

 住宅メーカーから事業を拡大してきた木下氏は、映画界でも不可欠の存在だ。初めて会ったのは18年前。吉永小百合主演の映画「まぼろしの邪馬台国」の主題歌に、セリーヌ・ディオンが決まり、カナダ・モントリオールで取材した時。第一印象はアライグマに似た青年のような人。本格的に映画に進出したばかりだったが、東映の岡田裕介会長(当時社長)にも物おじせず、気になることを聞いていた。

 8年前。東映系のシネコンが感染症予防策で劇場内抗菌コーティングを導入した。このリリースを見て、木下代表の顔つきが変わった。「明日動くわ」。ビジネスに生かせると判断し、新規事業に乗り出した。コロナ禍前にこの嗅覚だ。

 4年前の12月。

りくりゅうペアはロストバゲージで全日本選手権欠場を発表した。報知では2人の出場を想定した全日本の特集面を計画し、締め切り間近だった。ちょうどその日は報知映画賞表彰式で、木下氏も出席。2人の欠場で企画自体の成立が危ぶまれる中、担当者は木下代表を待ち受けた。すると「うちには(取り上げるような選手が)他にもいるから」と違う選手の名を次々に挙げ、担当者もピンチを脱した。それも、エスカレーターに乗った数十秒間で解決した。

 反射的な即断即決。それも思い付きではなく、信念めいたものを含む。昨年還暦を迎えたが、公演を応援するバレエにはまり、肉体改造も。どこまでも常識にとらわれない人だ。(芸能担当・内野 小百美)

 

 ◆内野 小百美(うちの・さゆみ)91年入社。演劇・映画を中心に芸能一筋。

編集委員。

編集部おすすめ