幕末の歌舞伎を題材にした漫画「かぶき伊左」や畠中恵による時代小説のコミカライズ作品「まんまこと」で知られる漫画家の紗久楽さわ氏が描き下ろした「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)」「加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)」のイラストが4日、初公開された。

 両演目は歌舞伎座「三月大歌舞伎」(5~26日)で上演される。

「三人―」は物語の大詰となる「本郷火の見櫓の場」。降りしきる雪の中、追っ手に追い詰められた和尚吉三、お嬢吉三、お坊吉三が一蓮托生の絆を胸に傷つくことも恐れず最期の立ち回りを見せる劇的な場面。「加賀見山―」は、かつて初代尾上を自害に追い込んだ辱めをなぞるように、二代目尾上を草履で容赦なく打ち据える「草履打ち」と呼ばれる場面が描かれている。

 紗久楽氏は「大好きな歌舞伎、そしてその中でもかなり上位で面白い演目二つのイラストを描けてとても幸せで、光栄です」と大喜び。「漫画家として描いてみて、この二作は本当に登場人物たちそれぞれの『個性』『キャラ立ち』が素晴らしく、岩藤も三人の吉三も、現代漫画に登場させたら確実に大人気になるキャラクター達だなと思いました」と思いを明かした。

 演目について「『悪』の要素を持ちながらも惹きつけられる、ハッキリとした本人達の自我があり、物語の中でいきいきと生きている。(岩藤は骨になっても生きるから堪らない。)江戸時代の舞台でありながら、いまでも観客が理解でき、胸を打たれ感動できることは素晴らしいことと思います」と魅力を解説した。

 さらに「いま脂が乗っている素晴らしく華々しい役者の方々で観られることは当然の喜びと致しまして、この二作のお話を通しで全て観られるこの三月は、なんて幸せな日々であることかと思います」と公演に期待。「作中とは少し意味合いが違いますが、『こいつぁ春から、縁起がいいわぇ』」と有名なセリフも交えてコメントした。

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