患者と向き合う医療現場で、医師が受けるカスタマーハラスメント(カスハラ)の実態が浮き彫りになった。医療人材サービスなどを手がける株式会社エムステージが、医師486人を対象に実施したアンケート調査で、医師の約6割が患者や家族からカスハラを受けた経験があると回答した。

 調査は2026年2月6日~13日に実施された。カスハラ被害を「経験したことがある」と答えた医師は約6割で、そのうち約2割は「数か月以内」に被害を受けたと回答。医療現場でカスハラが継続的に発生している状況が明らかになった。

 被害内容として最も多かったのは「暴言・大声」(239人)。続いて「長時間の拘束(執拗な問い詰めなど)」(114人)や「ネットやSNS上の誹謗中傷」(31人)が挙げられた。自由回答では「刃物を突きつけられた」「土下座を強要された」などの事例も報告され、医療現場で深刻な被害が起きている実態もうかがえる。ただ、カスハラを受けた際の対応では、「特に何もせず我慢した」と回答した医師が38.1%となった。同社は、被害を受けても対処を諦めてしまうケースが一定数存在すると指摘する。

 また、カスハラ対応の難しさとしては「『応召義務』があるため診療拒否がしづらい」との回答が46.3%で最多となり、制度上の制約が対応を難しくしている状況も示された。

 さらに、2026年10月に予定されるカスタマーハラスメント対策義務化については「知らなかった」とする回答が約半数。勤務先の対策状況についても約7割が「十分ではない」と答えた。

 一方、転職先を検討する際に医療機関が「職員を守る姿勢」をどの程度重視するかという質問では、「非常に重視する」25.1%、「ある程度重視する」61.5%となり、86.6%の医師が組織としての対応姿勢を重視する結果となった。

医療従事者を守る体制づくりが、今後の医療機関にとって重要な課題となりそうだ。

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