岩本洋調教師(81)=川崎=が、3月31日付で引退する。

 父は名ジョッキーにして、名トレーナーだった岩本亀五郎氏。

戸塚から競馬場が移転した1949年、父とともに川崎にやってきたが、当時は小向練習場が一杯で、岩本厩舎は競馬場と道を隔てた“外厩”として構えていた。

 今でこそマンションが立ち並ぶ川崎だが、「その頃は家なんて、全然ないからね。競馬場の周りで馬の運動もできたし、うちの厩舎からレースが見えたよ」と岩本調教師は懐かしむ。のどかな風景が広がっていた。

 少年時代は野球に打ち込んでいたという洋少年。競馬の世界を目指したのは、高校3年生の夏。進路を考えた時だった。父の言葉は「まずは、ジョッキーになってからだ」だった。スポーツで鍛えた体を騎手仕様に絞り込むのは、現役騎手時代も含め相当な苦労を強いられた。「飲まず食わずで絞るところがない状態なのに、風呂でさらに汗を取るんだから。もう大変。我慢に我慢を重ねる騎手生活だった」と振り返る。

 騎手引退後、1980年6月17日に調教師としてデビュー。2019年に東京ダービーを制したヒカリオーソなどを育てあげた。押しも押されもせぬ名伯楽となったいま、「若い調教師は、セリなどで分からないことがあれば聞きにくるし、ほんとうに熱心。何も心配していない」と後輩たちに期待している。

 引退後も「何かしら馬に携わる仕事を」と生涯現役ホースマンを宣言している岩本師。川崎開催に管理馬を送り出すのは6日9Rのゴールデンカガヤが最後となるが、トレーナー生活最終日の3月31日、船橋の京成盃グランドマイラーズ・S1に、20年の羽田盃馬、ゴールドホイヤーで参戦する予定だ。(浩)

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