◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 周囲を惹(ひ)き付ける、不思議な雰囲気がある。巨人のドラフト6位・藤井健翔内野手(浦和学院)は、プロ入り初のキャンプで充実の時間を過ごした。

高校通算35発の大器は、2月5日に行われた初の屋外フリー打撃で場外弾を放つなど、周囲の度肝を抜いた。全体練習終了後は連日の特守と特打に臨み、ユニホームを泥だらけにしてボールを追った。

 印象的だったのは、藤井を見守る首脳陣の姿だ。時には石井2軍監督自ら打撃投手を務め、脇谷2軍ディフェンスコーチが守備に就く。金城2軍オフェンスコーチと大田2軍打撃コーチは打撃ケージの裏で見守り、快音を響かせる18歳の打球を皆、楽しそうに見つめた。10~12日に巨人の臨時コーチを務めた松井秀喜さんも熱視線を送り、将来の主砲候補にアドバイスを送った。松井さんに名前を覚えてもらった新人は、12球団で藤井だけかもしれない。

 キャンプ中、息子の応援に訪れた父・伸さんに話を聞く機会があった。「昔から“人”と“運”に恵まれていた。本当にありがたい」。能力があっても、日の目を見ずに野球界を去る選手を何人も見てきた。「この選手を使いたい」と思わせなければチャンスすら回ってこない世界で、重要な能力だろう。

 両手のマメは潰れ、テーピングでぐるぐる巻き。痛みで風呂に入るのでさえ苦痛を感じる。毎晩「寝たら朝が来てしまう。起きたら強烈な筋肉痛に襲われるから寝るのが怖い」と感じる1か月間。私も同じ経験をした。いつの日か「あの時のキャンプがあったから」と思わせてくれる活躍を楽しみに待ちたい。(巨人担当・加藤 翔平)

 ◆加藤 翔平(かとう・しょうへい) 25年2月入社。ロッテ、中日で12年間プレーし24年に現役引退。

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