◆明治安田J1百年構想リーグ▽第5節 千葉2―1柏(7日・フクアリ)

 現役時代は「坂本隊長」の愛称で親しまれ、引退後は育成年代、トップチームコーチとして千葉に携わってきた坂本将貴ヘッドコーチ(48)がスポーツ報知の取材に応じ、この日J1で5949日ぶりの勝利を挙げた舞台裏、J1に復帰するまでの苦難の道のりを振り返った。(取材・構成=綾部 健真)

 J1時代の2009年11月8日、千葉は川崎に2―3で敗れクラブ史上初の2部降格が決まった。

その瞬間、坂本氏はピッチにいた。「サポーターの方々から前向きな言葉を掛けていただいたが、申し訳ないという気持ちが強くて頭が真っ白だった」。前身の古河電工時代を含めて44年間、日本のトップリーグで戦ってきた伝統が途切れた。

 ここから16年間に及ぶJ2生活に突入した。坂本さんはケガのため、千葉のJ1復帰という夢が実現する前の12年に引退。恩師イビチャ・オシム氏の影響を受けて指導者の道に進んだ。初年度は普及・育成部コーチとして市原市や千葉市の小学校を回った。この時、チームはJ2降格から4年が経過。子どもたちの反応に衝撃を受けた。「ジェフの名前を知らない子どもたちがかなり多かった。J2が長くなれば長くなるほど知らない。J1に上がらないといけないと思った」

 19年にはクラブ史上最低の17位に。

坂本氏は20年からトップチームのコーチに就任した。「ジェフのためにという思いが一番だった」。23年に、親交のあった同級生の小林慶行監督が就任すると、坂本氏はHCとなった。小林監督の攻守で主導権を握る魅力的なサッカーにファンも増え続け、昨季の平均入場者数はJ1時代の09年を超える1万5000人台を記録。百年構想リーグの開幕・浦和戦のチケットも完売した。

 この日、終了の笛が鳴ると坂本HCは監督、スタッフと抱き合ってJ1の舞台での勝利をかみしめた。熱気が渦巻いたフクアリで「全員で勝つ」、ジェフらしさが戻ってきた。

 ◆坂本 将貴(さかもと・まさたか)1978年2月24日、埼玉・さいたま市生まれ。48歳。浦和東高、日体大を経て00年に千葉に入団。オシム監督の下で活躍し、05、06年にはナビスコ杯連覇に貢献。07年に新潟へ完全移籍し、08年に再び千葉へ復帰。

12年までプレーして引退。その後はコーチとして現在まで千葉に所属。23年からトップチームヘッドコーチ。J通算327試合13得点。

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