歌舞伎俳優の尾上松緑が7日、東京・歌舞伎座でBプロの初日を迎えた「三月大歌舞伎」(26日千秋楽)の昼の部「加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)」で岩藤の霊と忠臣・鳥井又助の2役を演じた。

 加賀百万石で起きた加賀藩の御家騒動を題材にした名作「鏡山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)」の後日譚。

八丁畷三昧(はっちょうなわてさんまい)の場では、かつてお初に討たれた岩藤の執念が、野ざらしにされていた白骨を呼び寄せ、バラバラと音を立てるように不気味に動き出し岩藤の亡霊が登場。ケレン味あふれる怪奇的な演出に、場内にどよめきが起きた。

 続く花の山の場。桜満開の春山。寄り集まった骨が岩藤の姿へと変わり、桜の花びらが舞い散るなか、美しくどこか怪しげな笑みを浮かべた岩藤(松緑)が、蝶(ちょう)と戯れながら、ふわふわと宙を舞う「宙乗り」が披露された。

 多賀家の奥殿では、かつてのお初であり、今は家を支える中老となった二代目尾上(中村萬壽)を、生前と同じ局姿の岩藤(松緑)が因縁そままに草履で打ち据える「草履打ち」。冷徹な表情を浮かべる岩藤と、耐え忍ぶ二代目尾上の姿の対比が観客の視線を集めた。

 松緑の岩藤は2013年以来、13年ぶり2度目。日頃は主に立役のため、貴重な女形となる。事前の取材会では「前回は7代目(尾上)菊五郎のお兄さんにアドバイスをもらったので、それをベースにやっていきたい。代役とはいえ、澤瀉屋の型で経験している坂東巳之助さんとダブルキャストで、私と違った魅力があると思うので、稽古で拝見しながら、良いところは取り入れていきたい」と語っていた。

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