プロフィギュアスケーターの羽生結弦さん(31)が座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata 2026」は9日、宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで千秋楽を迎えた。今年は東北ユースオーケストラをスペシャルゲストに迎え、3日間の公演日程を終えた。

11日で東日本大震災から15年になる。祈り、愛、希望。すべての思いをスケートに込め、氷上に、心に、「魂のかけら」を残した。

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 羽生さんがリンクの中央にマイクを置いた。出演スケーター全員で声をそろえた。「ありがとうございましたー!」。会場を見上げながら、場内を1周。観客席に向かって、目いっぱい伸ばした手を振り続けた。「ありがとうございます」「ありがとうございました」。何度も何度も繰り返した。

 遺体安置所だったグランディ・21で、4年連続4度目の開催。教授の愛称で親しまれ、2023年に亡くなった坂本龍一さんの曲を演じた。

千秋楽を終え、言葉を紡いだ。

 「死に近い場所でもあるし、『生』がたくさんこうやって集まる場所でもあります。教授の音楽がここで奏でられたり、素晴らしいスケーターの皆さんの、祈りや愛、希望がこもった演技。皆さんにもどうかどうか、かけらでもいいので残っていてほしいなと。そして明日、この先、ずっとずっと、苦しいなって思った時の希望となるように願っています」

 今年もスケートで思いを伝えた。オープニングで誓った通りの、全力の滑りを届けた。

 「皆さんのこの15年、そして今日、皆さんが今生きている『生』を、この公演を見ながら感じていただきながら、そして僕らスケーターも、ここで目いっぱいの『生』を感じながら、ここに魂のかけらを置いていきたいなと思います」

 前半最後の「Happy End」が、時間を止めた。全身全霊を捧げた滑り。演技後の魂の叫び。ステージ横をふらつきながらはけていくほどに、すべての感情をこめた。しずくを絞り出すように、大トリの「八重の桜」、フィナーレの「希望のうた」を美しく演じきり、カーテンコールの「Etude」を笑顔で締めた。

 「どんどん世代は若くなっていくし、生まれ変わってはいくし、新しい命も生まれるけれども、そこにこんなことがあったんだよって、こんなことがあったから、こういうふうに守るっていうことを学んだんだよっていうのを伝えることは、その当時を知っている人間だからこそ、ずっと続けていきたいなと思います」

 忘れないこと、続けること、風化させないこと。

羽生結弦にしかできない支援、応援の仕方で、被災地に寄り添い続けている。支え、支えられ、一つに。共に前へ、進んでいく。(高木 恵)

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