大相撲 ▽春場所3日目(10日、エディオンアリーナ大阪)

 東前頭2枚目・藤ノ川(伊勢ノ海)は、かみ締めるように懸賞の束を受け取った。177センチ、121キロの小兵は、横綱初挑戦にも「ドキドキではなくて、ワクワクしかなかった」と身長15センチ、体重では63キロも上回る大の里(二所ノ関)にも信念の真っ向勝負。

「右が効いていた」と、右のど輪で相手の上体を起こし、最後は引き落とし。初金星に「ずっと取りたかった。思い切り当たって、自分らしい相撲を取れた」と、興奮気味に話した。

 新入幕の昨年名古屋場所で若碇から改名。初代から148年続いていた伊勢ノ海部屋伝統のしこ名を継承した。「藤ノ川」が金星が挙げたのは、俊敏な動きで「今牛若丸」と称された4代目(先代・伊勢ノ海親方)が1970年秋場所で横綱・北の富士を破って以来、56年ぶりとなった。

 父の甲山親方(元幕内・大碇)は現役時代、横綱に挑戦する機会はなく、「親父がなかったので、自分が取れてよかった」と親子2代の夢をかなえ声を弾ませた。雄姿を見届けた同親方は「興奮ですよ。思わず手をたたきましたよ。『ヨッシャ!』と叫んでね」と父親の顔だった。4日目は連日の横綱戦、豊昇龍(立浪)戦が組まれた。「明日も思い切っていく」。

自己最高位の東前頭2枚目で存在感を放つ21歳が、荒れる場所を演出する。

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