大相撲 ▽春場所4日目(11日、エディオンアリーナ大阪)

 横綱・大の里(25)=二所ノ関=が、日本相撲協会に「左肩関節脱臼で3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。自己ワーストの初日から3連敗と深刻な不振で金星を2つ与えていた。

2025年九州場所13日目に左肩を痛めて以降、本来の相撲を取れずに苦しむ。休場は千秋楽を休んだ同場所以来で2度目。再出場の見込みはなく、23年夏場所の幕下10枚目格付け出し初土俵以降、18場所目で初の負け越しとなる。

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昨年春場所を制した大の里の姿は、4日目の土俵にはなかった。ため息交じりの館内で、義ノ富士の不戦勝が告げられた。2場所ぶりの休場は苦渋の決断だった。3日目の藤ノ川戦で今場所2つ目の金星を配給し、自身初の初日から3連敗。支度部屋では「また明日しっかり気持ちをつくってやっていく」と気丈に振る舞っていたが、左肩の状態は深刻だった。

 3日目の夜、部屋で師弟で話し合って休場を決めた。師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は「これ以上、協会に迷惑をかけられないし、情けない相撲は取れない。何より体が言うことを聞かないのが一番」と弟子の胸の内を代弁した。

 昨年九州場所で左肩を痛めてから、ゴムチューブで患部を鍛えるなど慎重な調整を続けた。

ただ、てっぽうを打つ音に力強さはなく、上半身の調整遅れから下半身との連動性を欠いた。強行出場と言われた先場所は何とか10勝したが、左おっつけの威力はなし。千秋楽には「長かった…。こんなに長くて辛い15日間は初めて」と大きく息を吐いたが、稽古の“貯金”は使い果たしていた。

 今場所も負傷前の状態にはほど遠かった。場所前に境川部屋へ出稽古し、途中で幕内・平戸海に4連敗。患部に痛みが走っていたという。大関・琴桜とも稽古していたが、師匠は今回の不振を「稽古場で負けたとおりに負けた。調整がうまくいかなかったし、体ができあがっていない。かなり番数不足で体の『当て勘』がなくなっている」と指摘。じっくりと稽古を積めないつけが回ってきた。

 「左肩関節脱臼」の診断書を提出し今後、精密検査を受ける。

手術しない方針だが、八角理事長(元横綱・北勝海)は「大の里はとにかく早くけがを治すことだ。稽古で自信を取り戻すしかない。ここを乗り切ってほしい。乗り切らないと駄目だ」と発破をかけた。

 大の里はまだ25歳だ。普段の稽古の番数は10~20番で、ときに動画を確認するいわば令和流。2月に師匠は「稽古場からこの人には勝てない、怖いと思わせてほしい」と注文をつけていた。場所後の春巡業には参加する予定だ。まずは完治を優先させつつ、猛稽古で唯一無二の輝きを取り戻す。(山田 豊)

◆大の里の左肩負傷の経過

 ▽25年11月21日 九州場所13日目の安青錦戦の立ち合いで左肩負傷。

 ▽同23日 千秋楽、日本相撲協会に「左肩鎖関節脱臼」の診断書(約1か月の安静)を提出し休場。

 ▽12月1日 冬巡業を休場し、茨城・阿見町の二所ノ関部屋でリハビリと稽古再開。

 ▽同30日 25年最後の稽古で部屋の幕下以下の力士と相撲を取る稽古再開。

 ▽26年1月20日 初場所10日目。左肩が悪化する中で強行出場し3連敗。

 ▽同25日 千秋楽は豊昇龍に敗れたが10勝5敗で終える。

 ▽3月1日 二所ノ関一門連合の稽古で大関・琴桜と14番取るも、懸念の左はあまり使わず。

 ▽同2日 境川部屋に出稽古し幕内・平戸海と計26番取るも、精彩欠く。

 ▽同10日 春場所3日目、藤ノ川に金星を配給し、自身初の初日から3連敗。

 ▽同11日 左肩関節脱臼により、4日目から休場。

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