大相撲春場所6日目(13日、エディオンアリーナ大阪)

 綱取りの大関・安青錦が西前頭3枚目・王鵬にきめ出しで敗れ、早くも3敗目を喫した。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降に昇進した横綱35人のうち、直前場所で6日目までに3敗した例はなく、場所後の昇進が厳しい状況に追い込まれた。

関脇・高安、西前頭4枚目・隆の勝は初黒星。全勝がいなくなり、横綱・豊昇龍ら7人が1敗で並ぶ混戦となった。

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 横綱昇進が消えかかる黒星だ。安青錦は王鵬の馬力ある立ち合いを受け止め、もろ差しに。自身より身長が10センチ高い192センチの相手に腕をきめられた。低い姿勢を起こされ、後退。最後は土俵下に尻から落ちた。普段は敗れても誠実に対応するが「今日は(取材)なしで」。目を閉じ無言でまげを直す姿が悔しさを物語る。八角理事長(元横綱・北勝海)は「今場所は後手後手になっている」と指摘した。

 1場所15日制が定着した1949年夏場所以降に誕生した横綱35人のうち、直前場所で6日目までに3敗して昇進した例はない。年6場所制となった1958年以降初土俵の力士で最速(付け出しを除く)の所要16場所での横綱昇進は、崖っぷちだ。

昇進を預かる審判部で、幕内後半戦の審判長を務めた九重親方(元大関・千代大海)は「どこかプレッシャーがあったのかな」と言葉を向けた。

 万全で迎えたはずだった。昨年11月の九州場所後の大関昇進から、行事への参加などで休みが激減。師匠・安治川親方(元関脇・安美錦)の配慮で冬休みをもらい、2月に東京・八丈島へ旅に出た。綱取りへ心身を整える目的もあった。満天の星々は母国・ウクライナの夜空に似ていたといい、「島だけど山も海もあって夜は空がきれいだった。すごくリラックスできた」。その後は出稽古で調整したが、これが重圧なのか。持ち味の低姿勢を起こされ、粘り強さも影を潜める。

 八角理事長は「試練。生みの苦しみだね」、九重親方は「全部勝っていけば、ひっくり返るでしょう」と奮起を促した。横綱昇進の内規は「大関で2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」。

大関初Vで横綱昇進の足がかりを作った先場所は12勝3敗。文句なしの横綱昇進とするための優勝には、この先1敗も許されない。7日目は熱海富士戦。白星を重ねるしかない。(山田 豊)

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