大相撲春場所7日目(14日、エディオンアリーナ大阪)  

 新小結・熱海富士が、大関・安青錦を上手投げで破って4勝目を挙げた。場所前には、2023年に日本一に輝いたプロ野球の元阪神監督の岡田彰布氏(68)と会食。

名将からの独特の助言も力に変えて安青錦の首投げを攻略し、先場所の優勝決定戦の雪辱を果たした。安青錦は2連敗で4敗目を喫し、場所後の横綱昇進が絶望的となった。トップは1敗で横綱・豊昇龍、関脇・霧島、高安と平幕の隆の勝、琴勝峰、豪ノ山の6人が並ぶ。

×    ×    ×    ×

 同じ手は二度食わない。熱海富士は立ち合いでかち上げ、下から突き起こして右を差し、左の上手を取った。安青錦の苦し紛れの首投げに瞬時に反応。左に動いてしのぎ、両まわしを制して盤石の体勢で寄ると、最後は左上手投げで転がした。西の花道を軽やかな足取りで引き揚げ、「勝てたことがすごくうれしい。自分の中で、自分のできることを出せたと思う」と満面に笑みを浮かべた。

 先場所は優勝決定戦で安青錦を土俵際まで追い詰めたが、逆転の首投げを食らい、静岡県勢の悲願の初優勝を逃した。悔しさから目を背けず、「動画を何回も見た」と雪辱の機会を待った。「誰がどう来ても大丈夫なようにしている」。

首投げも頭に入れ、優勝決定戦を含めて5度目の対戦で初白星。綱取りの大関には横綱昇進が絶望的となる4つ目の黒星をつけた。

 場所前、元阪神監督の岡田氏と食事をする機会があった。岡田氏はこの日、NHK中継のゲストを務め、番組内で熱海富士とのやり取りを明かした。

 

 岡田氏「先場所、何で負けたんだ」

 

 熱海富士「首投げです…」

 

 岡田氏「首、どこにあるねん! 首ないやないか。そんなもん、首投げって。おーん」

 

 187センチ、197キロの巨体を誇る熱海富士も、名将のユーモア満点のいじりで肩の力が抜けたのか、見事に首投げを攻略。“おーん返し”の白星となった。

 今場所は静岡県出身96年ぶりの新三役として臨んでいる。上位陣との対戦が続いた前半戦で1横綱2大関を撃破するなど、4勝3敗と白星が先行。八角理事長(元横綱・北勝海)は「今日は熱海富士をほめるべきだ。大関候補だよ」と称賛した。

トップと2差を守った熱海富士は「一日一番、全力で皆さんに元気を出していただけるような相撲を取りたい」と誓った。今度こそ、静岡初の「アレ」を成し遂げる。(林 直史)

編集部おすすめ